表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

367/1484

『公女を処刑しないで』なんて言えないよ

「でも……公爵令嬢として……」


 スウィートちゃんは立派な公爵令嬢の姿を『意地悪顔』って勘違いしているのかな?


「スウィートちゃんは、本当はどうしたいの?」


「え? それは……もっと薄化粧の方が……いいけど……」


「じゃあ、そうしようよ。誰もバカになんてしないよ? むしろ皆、見とれちゃうくらいかわいいよ?」


「え? わたしに……見とれる?」


「うん! わたしは今のスウィートちゃんの方が好きだよ? 素の感じがして親しみやすいよ?」


「素の感じ? でも、それじゃあ公爵令嬢としての……」


「大丈夫だよ。『公爵令嬢らしさ』なんて誰かが決めた事でしょ? スウィートちゃん自身が公爵令嬢なんだから、素のスウィートちゃん自体が公爵令嬢でしょ?」


「え?」


「肩の力を抜いていいんじゃないかな? そうじゃないと理想の公爵令嬢に押し潰されちゃうよ?」


「押し潰される?」


「スウィートちゃんがスウィートちゃんでいられればそれがスウィートちゃんなんだよ!」


「……? よく分からないわ?」


「えへへ。それでいいんだよ。そうじゃなきゃつまらないでしょ? 全部分からないから楽しいんだよ! 知らない事があるってワクワクするでしょ?」


「……? やっぱりよく分からないわ? でも……クラスの皆がわたしを良く思っていない事は分かるわ。扇子で殴られて痛かったわよね。そんな事、考えた事も無くて。ペリドットに言われて初めて気づいたの。情けないわ。それに……毒まで……どうかしていたわ」


「スウィートちゃん……」


「わたし……きちんと罪を償うわ。そうしたら……ペリドット……あの……友達になってくれる?」


「え?」


「やっぱり、嫌よね?」


「嫌って言うか……スウィートちゃんはもう友達だから……もう一度友達になるの?」


「え? もう友達?」


「うん! あれ? 違ったのかな? あれ? わたし一人で友達だと思っていたのかな?」


「……ペリドット……ありがとう。友達がいるってなんだか……上手く言えないけど……」


「うん。分かるよ。ちょっとくすぐったくて、嬉しくて楽しくて……そんな感じ?」


「ペリドットは……王妹殿下なの?」


「あぁ……そうだね」


「申し訳ございませんでした」


「え? あ……うん。えっと……うん。スウィートちゃんはきちんと謝れて偉いね。突然変わって驚いちゃったよ」


「最期だから……最期くらいは自分らしくしたくて」


「……最期?」


「クラスメイトを毒殺しようとしたのよ? 王妹殿下に罪を被せようともしたわ……処刑……されるはずよ」


「スウィートちゃん……悪い事をしたって分かって反省できたなら……きっと……だから……」


「ペリドット……」


 お兄様が、辛そうな顔をしているね。

 スウィートちゃんは処刑されるの?

 嫌だよ。

 でも……

 それをわたしが言うのはダメだよね。

 わたしが処刑しないでなんて言ったらお兄様を苦しませちゃうよ。

 お兄様は、ただでさえ大変なのに、わたしがわがままを言ったらダメだよ。


「……」


「ペリドット……話して?」


「だって……お兄様に迷惑かけちゃうから……お兄様は大変なのに……」


 わたしのわがままで振り回したくないよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ