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ベリアルが縦巻きロールのウィッグを被っていたら超絶かわいいよね

「あの……さ。その人質の……あの……」


 なんて言ったらいいんだろう?


「なんだ? この人質がどうかしたか?」


 暗殺者はその人質が吉田のおじいちゃんだっていう事に全然気づいていないみたいだね。


「うん。えっと……それが……誰だか分かる?」


「誰だか分かるか、とは?」


「うん。良く見て?」


「良く……? クラスの貴族だろう? ん? 新しく入学した奴か? 知らない顔だな」


「あの……それ、わたしの護衛なんだけど……」


「は? 護衛? なんで護衛が制服を着てるんだ?」


 いや、なんであなたも四十二歳でパッツパツの制服を着ているの?


「ぷはっ」


 もう!

 またわたしの心の声を聞いたね?

 吉田のおじいちゃんは吹き出さないの!

 動いたら首が取れちゃうよ?


「この状況で笑うとは……美しいだけじゃなく心が強いんだな。気に入った! 我が嫁にしてやってもいいぞ?」


「あらぁん! 嬉しいわぁん。うふっ」


 吉田のおじいちゃん……

 ノリノリだね。


「プッ! あははは! じいちゃんはさっきから何やってるんだ? サクサクサク……」


 ベリアルがお菓子を食べながら大爆笑しているね。


「は? じいちゃん? 女だろ? なんでじいちゃんなんだ?」


「あらぁん! それはわたしがじいちゃんだからよ? うふっ」


 おぉ……

 暗殺者を背負い投げしたね。

 ……と同時にウィッグが取れたよ。


「やれやれ。なんだ、これで世界最強なんか? カツラが取れたか。このカツラはヒヨコちゃんにあげようなぁ。プッ……似合ってるぞ?」


 ……!

 クルクルの縦巻きロールのウィッグを被ったベリアル!?

 くぅぅ!

 超絶かわいいんだけどっ!

 

「はわわわわわわわわわ! かわいいっ! かわい過ぎるよっ! きゃああああ! ヒヨコの国のお姫様みたいだよ!」


「は? なんだ? ヒヨコの国のお姫様って……」


「ぐふふ。この姿を見ながらパンを五個はいけるね」


「は? お前……気持ち悪っ」


 あぁ!

 ベリアルがウィッグを投げ捨てたよ。

 うぅ……

 残念。

 かわいかったのに。


「吉田のおじいちゃん……なんで女装しているの?」


「ん? この制服はぺるぺるのだぞ? 汚れた時用に何着か作ったんだ。どうだ? 似合うか?」


「……すごく綺麗だったよ? ウィッグはどこで手に入れたの?」


 昭和の大スターの身体だからね。

 何を着ても似合うよね。


「ん? 知り合いの商人から買ったんだ。新しくカツラの商売も始めるらしいぞ?」


 ベリス王だね。

 間違いないよ。


「なんで大きいリボンをつけていたの?」


「ん? 縦巻きの髪って言ったらあれだろ、あの夫人だ!」


「あの夫人? どの夫人?」


「昔あったんだ。一生懸命ボールを追いかける漫画の夫人でなぁ。その夫人は大きいリボンをつけてて。だからじいちゃんも真似してつけてみたんだ」


「……? 夫人がテニスを? ん? 良く分からないや」


「そうだなぁ。じいちゃんも分からねぇや。だって、ぺるぺると同じくらいの学生なのに夫人って呼ばれてたんだからなぁ」


「ふぅん。おじいちゃんにも分からない事があるんだね」


「そうだなぁ。世の中は分からねぇ事ばかりだなぁ」

 

「なるほど……」


 確かに分からない事ばかりだよね。


「おい……なんでまた毛を頭に乗せたんだ?」


 ばれたか。

 さりげなくウィッグをベリアルの頭に乗せたんだけど……


「えへへ。だって、かわいいんだもん」


「……お前はよくこの状況でそんな事が言えるよな。サクサクサク……」


「ヒヨコちゃんも……よくこの状況でずっとお菓子を食べていられたよね」


 やっぱりわたしとベリアルは元々一つの魂だったんだね。

 おばあちゃんもわたしとベリアルがそっくりだってよく言っているけど本当にその通りだよ。


 

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