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クラスに一人はやたら年上に見える人がいるよね

「……えっと。状況を落ち着いて整理したいんだけど」


「この状況でよくそんな事を言えるな。ふははは!」


 ふははは?

 うーん?


「あなた……誰?」


 どう見ても学生には見えないよね?

 髭も生えているし……

 あのお腹の出方は中年太りだよね?

 お酒の臭いもプンプンしてくるよ?


「オレは公爵様が雇った暗殺者だ! ふははは!」


「ん? なんでアカデミーの制服を着ているのかな?」


 パツパツで苦しそうだよ? 

 

「オレは、邪魔な婚約者候補を消す為に二週間前アカデミーに学生として入り込んだのさ!」


「ん? えっと……昨日ってクラスルームにいた?」


 これだけのインパクトなら忘れるはず無いんだけど?


「昨日は二日酔いで寝てたからな! ふははは!」


 ……学生はお酒は飲んじゃダメでしょ?

 確か前の席のジャックがまだお酒を飲める年齢じゃないって言っていたよね?

 

「本当はいくつなの?」


「四十二だ! ふははは! オレの変装は完璧だからな! 十五歳だと誰も疑わなかったぞ! ふははは!」


「「「……」」」


 ああ……

 クラスの皆がそんなはず無いだろって目で見ているね。

 

「あのさ……バレバレだと思うんだけど。ほら、ジャックと比べるとお父さんにしか見えないよ? お酒臭いし中年太りしているし……皆気を遣って知らない振りをしてくれたんじゃないかな?」


「まさか! そんなはずは……」


「あの、ごめん。ペリドット様の言う通りだよ。なんか……無理して若者ぶっているから、何か事情があるのかと思って……」


 前の席のジャック……

 なんて優しいの?

 哀れみの瞳で暗殺者を見つめているよ。


「え? そうなの? わたしは気づかなかったけど……」 


 公女……

 本当にお兄様以外に興味が無いんだね。

 誰が見ても明らかに学生じゃないよ?


「スウィートちゃんはお兄様にしか興味が無いからね。って言うより、このクラスに暗殺者がいるって分かった時点で普通は、この人間を疑うよね? 公爵はこの人間を怪しいと思わなかったの?」


「ああ……体格のいい男だと思ってはいましたが……怪しい点は無いと報告を受けていましたので」


「報告? 誰から?」


「我が公爵家の手の者です」


「……その人間ってもう一つの公爵家の手先なんじゃない? だって、昨日アカデミーに入学したばかりのわたしでさえ暗殺者はこいつだなってすぐに分かったよ?」


「……確かに、わたしも今、間近で見たらそう思いましたが……クラスに一人はやたら年上に見える者がいませんか? この者もそうなのかと……」


 公爵は天然なのかな?


「ちょっと待って? 公爵は良い人間だったんだよね? でも周りの貴族からの評判は悪い……つまりもう一つの公爵家がそうなるように情報操作をしていたっていう事じゃないかな?」


「あぁ……言われてみればそうかもしれませんが……他にも思い当たる事はありますね」


「え? 思い当たる事って?」


「はい。空になった国庫をなんとかする為に貴族達から寄付を募りまして……それからわたしは嫌われるようになりました」


 かなり強引にしたんだろうね。

 目に浮かぶよ。


「おい……お前達、人質がどうなってもいいのか? いつまでそんな話を続けるんだ?」


 あぁ……

 暗殺者が怒り始めたね。

 そうだった。

 吉田のおじいちゃんが首にナイフを突きつけられていたんだった。

 でも、あれってお父様が創った身体だよね?

 たぶん首が取れても普通に動くんじゃないかな?

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