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これが真実だったの? (4)

「……かなり意地悪をされたってアルストロメリア公爵から聞いたけど……もしかして、公爵もアルストロメリア公爵から意地悪されたの?」


「意地悪を……? あぁ……あれは意地悪とは違いますよ? 他国の王族であったアルストロメリア公爵がこのリコリスで生き延びられるように悪意の無いわたしが鍛えていたのです。初めこそ泣いていましたがすぐにやり返すようになりましたよ? あれは立派な男です。共に国から追放された母親をたった一人で守っていたのですから」


「……じゃあ、なんで令嬢を誘拐したの?」


「それは……守る為です。わたしは……陛下の秘密を知っています。この場では……あれですが……拐われた令嬢が無事な事は分かっていました」


「……それって……でも何から守ろうとしていたの?」


「この場で話してもよろしいのでしょうか?」


「……公爵は話すべきだよ? もしかしたら、わたし達は公爵を誤解していたのかもしれないの。わたしは本当の公爵を知りたいよ」


「……殿下」


「殿下? わたしの事?」


「容姿こそ変わりましたが……先々代の陛下と同じ瞳です。全てを知っているような……まるで見透かされているような……」


 うう……

 ゴンザレスから色々教えてもらっているからね。

 だからかな?


「まず……先に話させてください。学生に毒を盛ったのには訳があります。実は……この中に陛下の婚約者候補を殺めようとしている者がいるのです。ですが……それが誰かまでは分かりませんでした。アカデミーに通う三人の婚約者候補を守ろうと……その為に関係の無い学生にまで毒を盛るとは……わたしは愚かでした」


「……それって……本当?」


「はい。暗殺者を雇い命を狙っていたようで……わたしは怪我の無いように優しく捕らえ、かい……あの……者達が助けに来た事を確認した後に海に落としていたのです」


 今、海賊って言おうとしたね。

 全部知っていたんだね。


「でも……アンジェリカちゃんを拐おうとした人間を口封じしようとしたんでしょ?」


「え? アンジェリカ……? あぁ……あの誘拐事件はわたしの手の者ではありません。それから、牢での不審死もわたしは関係ありません。わたしは神聖物が偽物だと疑っていましたからわざわざ壊すような事はしませんよ」


「……あぁ、待って? わたし……勘違いをしていたよ。このリコリスには、公爵家はいくつあるの?」


「三つですが……」


「なるほどね」


 あの時、シェイドはわたしの友達じゃない方の公爵って言ったんだ。

 つまり……

 もう一つの公爵家の人間が犯人……


「公爵家にはそれぞれ婚約者候補の令嬢がいるの?」


「はい。良くお分かりになりましたね。公女の一人は身体が弱く邸宅から出られないのです」


「まさか……邪魔な令嬢を全員消した後に公爵に罪を被せて自分の身内の病弱な公女を王妃にしようと? だとしたら赦せないよ。公爵がかわいそうだよ」


「殿下? 今の話は?」


「はぁ……わたしは自分が恥ずかしいよ。消えちゃいたいくらい恥ずかしいよ。公爵、ごめんなさい。本当にごめんなさい。わたし、公爵を竜巻で攻撃したりして……ごめんなさい」


「あぁ……いえ……国の為とはいえ孫娘を王妃にと考えていたのは事実ですし、甘やかしてきたのも事実です。初孫のスウィートちゃんがかわい過ぎて……」


「きゃああ! おじい様、その名で呼ばないで! 恥ずかしいんだから!」


 スウィートちゃん……

 初孫がかわいくてスウィートちゃんって名前にしたんだね……

 

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