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公女は分かりやす過ぎるでしょう

「どこに行っていたのよ」


 クラスルームの扉を開けると……公女が一人でいるね。

 うわぁ……

 明らかにわたしの荷物置き場を探っていたよ。

 ビクッてしていたし。

 まぁノート以外は何も入っていないけどね。


(毒を隠しましたよ?)


 え?

 ゴンザレス?

 毒を隠したって?


(はい。粉状の毒をノートの間に挟みましたね)


 うわ……

 救いようがないね。


「公女……今、わたしのノートの間に何か挟みましたね? 見ていましたよ?」


 全く、仕方ないね。

 クラスメイト達も先生も、今の言葉で何か良くない物を挟んだ事に気づいたみたいだね。


「え? あぁ……嫌だわ。わたしったら暑くて……はい。取り出したわよ?」


(まだ、もうひとつ入っていますよ?)


 え?

 ひとつだけじゃないの?

 ……公女は、本当に救いようがないね。


「公女、もう一つありますよね?」


「……え? あぁ……はぁ……もう……」


 やれやれ。

 困った公女だよ。

『もう』って言っちゃっているよ?

 またやりそうだからわたしの荷物置き場に結界を張って……と。

 これで荷物に触れないね。

 公女以外のクラスメイトの分も一応結界を張っておこう。


「公女様! いい加減にしてください!」


 先生……

 良心があると信じようとしていたのに完全に裏切られたからね。

 声を荒げる気持ちも分かるよ?

 

「なんて事? まさかこのわたしに大声を出したの? 信じられないわ。おじい様に頼んでアカデミーから追い出してあげるわ」


 公女……

 先生は公女を信じようとしていたのに。

 その気持ちに気づけないなんて。


「公女、どうしてそうなの? 先生は公女の為を思って言っているのに」


「は? 頼んでないわよ。それより、早く外に昼食に行きなさいよ」


「公女……今ならまだ引き返せるよ。お願いだよ。わたしはもっと公女を知りたいよ。きっとお互いを知れば仲良く……」


「はぁ? どうしてわたしがあんたとなんか仲良くしないといけないのよ」


「公女、これ以上罪を重ねたらダメだよ。お願いだから……」


「わたしは罪なんて犯してないわ? 言いがかりは、やめて」


「公女……」


「さっさと行きなさいよ! あぁ……あんたには話があるから残りなさい」


 ……伯爵令嬢を呼び止めたね。

 クラスメイト達が黙っちゃったよ。

 公女が、自分達に毒を盛るつもりなのを知っているからね。

 かわいそうに、伯爵令嬢は震えているよ。


「(……落ち着いて、大丈夫だから。流れに身を任せるんだよ?)」


 今はこれしか言えないね。


「……はい」


 こうして伯爵令嬢を残してピクニックの木陰に向かうと、ハデス達が人間の男性と立っている。


「あ……もしかして伯爵?」


 優しそうな中年の男性だね。

 

「……はい。事情はこちらの方々から伺いました。まさか公爵が娘に罪を犯させるとは……」


「今、公女に呼び止められているから……ティーポットを持っていたら、中に毒が入っているはずだよ? 令嬢はかなり辛そうだったから、支えてあげてね?」


 令嬢の親戚のお姉さんはお兄様の婚約者候補で拐われているんだよね?

 伯爵は令嬢が心配で堪らないだろうね。

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