ゴンザレスとの内緒話~後編~
(魔王とは、強ければ誰でもなれるというものではありません。現在の魔王様は素晴らしいお方です。魔王様のお陰で魔族は過ごしやすくなりました。先代の魔王様は……強かったのですが力で押さえつけるだけで……)
そんなに酷かったの?
(はい。現在の魔王様は魔族にかなりの恩恵を与えました。次期魔王の座に就く者は、それ以上の物を魔族に与えなければ誰からも認められないでしょう)
それができるのはイフリート王だけ……か。
(全ての種族王もそれを認めるでしょう。リヴァイアサン王も、ドラゴン王とぺるみ様に叩きのめされてからすっかり大人しくなりましたし、グリフォン王は魔王様にやられてから、次期魔王になりたいと言わなくなったようですよ? 他の種族王は皆イフリート王に好意的ですし)
じゃあ、もうすぐお父さんは魔王じゃなくなるんだね。
これからは、おばあちゃんと一緒にのんびり暮らせるのかな。
(あ、まだ先の話ですよ? まだ十年以上は今のままかと……引き継ぎも大変らしくて。魔王様はイフリート王に次期魔王になって欲しいと打診したらしいのですが、王子を一人前にする為にもう少し待って欲しいと言われたようです)
……!
すごいね、全部筒抜けだよ。
(ははは。我らゲイザー族にかかればこの程度は簡単です! いやぁ、この能力を誰かに自慢できるなんて! 最高に嬉しいですよ!)
……ずっと自慢したかったんだね。
よく今まで黙っていられたね。
(命の危険がありましたからね。でも、今は魔王様に守っていただけるので安心して自慢できますよ。ははは)
わたしはゴンザレスから聞いた魔族の秘密を誰にも話さないけど……吉田のおじいちゃんには筒抜けだからね。
余計な事を話すと消されちゃうかもしれないから気をつけてね?
(……! 確かに! 次からは気をつけます!)
でも、助かるよ。
ゴンザレスがいてくれたからクラスメイトを毒から守れたよ?
本当にありがとう。
(ぺるみ様……この能力が誰かの役に立てるなんて。しかも悪さに利用しようとしないぺるみ様のようなお方に巡り会えて本当に幸せです)
今まで辛かったね。
わたしなら自慢話をいつでも聞くからね?
これからはゴンザレスもゲイザー族の皆もわたしの大切な家族だから。
(家族……? はい! ありがとうございます! 家族……嬉しいです。ゲイザー族は今、五体しかいなくて……)
五体!?
(はい。子を産める者がいなくなってしまったので、減る一方で……)
そうだったんだね。
(そうなんですよ! だから、今いる者の命を守る為に必死でグリフォン王国に攻め込んだんです!)
(もっと早くぺるみ様に会いに来れば良かったですよ!)
(そうだよな!)
(これからは安心して暮らせるな! ははっ!)
(あの……自慢話をしてもいいんですよね!? 我らの力のすごさはまず、誰からも気づかれないように……)
(我らも初代の神にハリセンボンの姿にしてもらいました)
(でも、目から雷は出せますよ?)
(出し入れ自由な触手もつけてもらいました! というよりは触手を……)
あぁ……
ゲイザー族の皆が同時に話してくるからよく聞き取れないよ。
ゴンザレス以外は魔王城から話しかけているんだよね?
今まで種族内でしか話していなかったから話したい気持ちが爆発しているよ。
お父さんもこんな風に話しかけられているのかな?
……これからは第三地区が更に賑やかになりそうだね。




