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ゴンザレスはゲイザー族だったんだね

「うわあぁ! 王太子殿下はすごくかわいいですね。あの……抱っこさせていただく事は……」


 おぉ……

 公女の元取り巻きはハーピーちゃんを抱っこしたいんだね。


「だめだ。おれはぺるみがすきだから、ぺるみがいい。あかでみーのせいで、だっこへった」


 ……!?

 かわいい……

 アカデミーに嫉妬しているんだ。

 ぐふふ。

 堪らないね。


 あれ?

 そういえばベリアルが静かだね。


「えへへ。ゴンザレス! ゴンザレスゥ!」


 あ……

 ハリセンボンのゴンザレスがいるね。

 ベリアルがすごく嬉しそうにしているよ。

 パパ達と一緒に来たのかな?

 それともハデスが強制退去された時に吉田のおじいちゃんが連れて来たとか?

 もう皆に赦してもらえたのかな?


(聖女様……聞こえますか?)


 あ……ゴンザレス?


(はい。あの後、魔王城で初代の神が耳打ちしてきまして……)


 え?

 吉田のおじいちゃんが?


(はい。先程の冒険者の人間は公爵が用意した刺客だったようです。失敗した事が今頃公爵の耳に入ったはずです。何を仕掛けてくるか分からない状況ですので、オレが護衛として……)


「ゴンザレス! ゴンザレスゥ! また一緒にいられるんだな? えへへ。嬉しいぞ?」


 ベリアルはゴンザレスが帰って来てくれて嬉しいみたいだね。


(はい。こんなに他種族から大切にされたのは初めてかもしれません。力を利用しようとして近づいてくる者はいましたが、ベリアルはそうではありません。かわいくて堪りません)


 そうだね。

 皆には赦してもらえたの?


(聖女様を守る約束で、なんとか……仲間達も魔王の島の整備の手伝いをする役目を与えられました。これで生き延びる事ができそうです)


 良かった。

 後で、もう一度手土産でも持ってグリフォン族に謝りに行こうね?

 一緒に行ってあげるから。


(聖女様……ありがとうございます。何から何まで……本当にありがとうございます)


 今まで大変だったね。

 これからは安心して暮らせるよ。


(はい)


 ところで、ゴンザレスは何の種族なのかな?

 ハリセンボンの姿しか見ていないから分からなくて。


(はい。オレはゲイザー族です。見た目は今の魚の姿とあまり変わりませんよ?)


 ゲイザー族?

 ハデスがずっと前に教えてくれたけど……

 どんな感じだったかな?

 確か……目がひとつで……えっと……?

 

(はい。そんな感じですが、触手にも小さい目がいくつかありますよ?)


 触手?

 ああ、思い出した。

 ……ゴンザレス以外はゲイザー族の姿なんだよね?


(はい。今頃魔王城の掃除をしているはずです) 


 そっか……


「ゴンザレス! 一緒にお菓子食べよう! えへへ。ゴンザレスはかわいいなぁ」


(では、聖女様、オレはベリアルとお菓子を食べてきます)


 あぁ、わたしの事はぺるみって呼んで?


(はい。ぺるみ様……ですね?)


『様』は、いらないよ?


(ですが……では、慣れるまではそう呼ばせてください)


 ベリアルとか他の皆には話しかけないの?


(話せない振りをした方が、心の声が聞こえる事がばれずに済みますから。ですが、先程魔王様の前で話す姿をベリアルに見られましたので……臨機応変にしたいと思います)


 なるほど、心に聞こえてくる声と耳に聞こえる声の区別がつきにくいっていう事かな?

 あ、呼び名が魔王『様』になっているね。

 お父さんを信頼してくれたのかな?


(はい。区別がつきにくい為、今までも他種族の前では話さずに暮らしてきました。元々我らゲイザー族はおしゃべりでして……一度話し始めると止まらなくなってしまうのです。これからはぺるみ様のご家族には『様』をつけさせていただきます。命の恩人ですから)


 そっか……


(魔王様が我が種族の能力を秘密にすると約束してくださいました。ですが万が一、他種族に知られた場合に安全なようにと魔王城の下働きをさせながら保護してくださるそうです)


 これからは安心して暮らせるんだね。


(オレはゴンザレスとしてぺるみ様の護衛をさせていただきます。心の声が聞こえるだけではなく目から雷を出せますので、人間くらいなら瞬殺です!)


 瞬殺……

 なるべくなら、やらないで欲しいけど……


(大丈夫です。ばれないようにやりますから! では、ベリアルとお菓子を食べてきます)


 ……危ない護衛が一人増えたね。

 しかもゲイザー族か。

 確か……見た目がわたしの描いた絵くらい怖いんじゃなかったかな?

 ベリアルは怖がりだからね。

 ゴンザレスの本当の姿に怯えないといいけど。

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