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騙し騙される不毛の時間(7)

 口裏を合わせないといけないからね……

 そうだね。

 それがいいね。

 ん?

 あなたは、吉田のおじいちゃんにいきなりハリセンボンにされたんだっけ?


(はい。そうです)


 その時も心に蓋をしていたの?

 え?

 

(その時は……かなり遠くの海でしたから完全には蓋をしていなくて、というよりは仲間と心でやり取りをしていた最中で……って、ああ!)


 ……全部、吉田のおじいちゃんに聞こえていたみたいだね。


(まさか……それでハリセンボンにしてオレを前ヴォジャノーイ王のハデスに消させようとした……?)


 ……うーん。

 それは、分からないけど……

 あのさ、心の声が聞こえなくなってもいいなら、知り合いのドワーフのおじいちゃんにお願いして魔力を抑えられる装備みたいな物を作ってもらおうか?

 

(え? そんな物ができるのですか?)


 でも、心の声が聞こえる力なんて欲しがる悪者がたくさんいそうだからね。

 やっぱり魔王城で保護してもらう必要があるよ?


(……はい)


 身体が震えているね。

 大丈夫?


(この力のせいでずっと怯えながら暮らしてきました。気味悪がられるだけでなく、利用しようとする連中も大勢いました。そのせいで何人もの仲間が命を落としてきました)


 辛かったね。

 やっぱりそうなっていたんだね。

 あ、吉田のおじいちゃんも心の声が聞こえている事は皆には秘密だよ?

 話そうとすれば即死間違いなしだからね。


(はい。同じ力を持つ者同士、絶対に秘密にします。苦労は分かっていますので)


 とりあえずわたしも行くよ。


(よろしいのですか?)


 うん。

 少し話してすぐ戻るからね。

 ベリアルに空間移動をお願いしないと。


「ヒヨコちゃん」


 あれ?

 あぁ、いた。

 今は学長がニヤニヤしながら抱っこしているね。


「ん? なんだよ? モグモグ……」


 くぅぅ!

 お菓子で餌付けされているよ。

 かわいいっ!

 あ……

 さっき話していた、わたしとベリアルが同じ魂だっていうのは本当なの?


(はい。本当です。あの時の初代の神の悲痛な叫びは今でも忘れられません。普段は神の心の声は聞こえてこないのですよ?)


 吉田のおじいちゃんも心に蓋をしているんだね。

 ……って、あなた達の種族が心の声が聞こえる事を知っていたんじゃないの?

 この世界を創った時から、心の声が聞こえる種族としてあなた達の祖先を創っていたんじゃない?

 だとしたら、今のこの心の中の会話も筒抜けなんじゃない?


(……! 確かに! 我らよりも初代の神の力が弱いはずがありません。どうして気づかなかったのだ)


 なんだ……

 ずっと吉田のおじいちゃんの手のひらで転がされていた感じだよ。

 今までの会話は全部無駄だったっていう事か。

 あ、でも、ベリアルとの事は知れて良かったね。

 吉田のおじいちゃんがファルズフに毒を盛るように指示していたっていうのは嘘だよね?


(……)


 え?

 まさか、本当なの?

 でも、どうやってそれを知ったの?

 吉田のおじいちゃんは常に心に蓋をしているんだよね?

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