騙し騙される不毛の時間（4）
（なぜ気づかぬ振りを？）
え？
何がしたいのかなって思って。
（それだけ？）
うん。
あ、吉田のおじいちゃんがどうしてあなたをハリセンボンの姿にしたか知りたいんだよね？
（……知りたい）
まあ、直接聞いたわけじゃないけど……
ハデスにじわじわと、なぶり✕✕させる為じゃないかな？
（え？ それは……？）
だから、今からわたしがハデスに、ハリセンボンのゴンザレスに嫌な事を言われたって話すでしょ？
そうしたら、あなたはじわじわと、なぶり✕✕にされるんだよ。
いっそ殺してくれって懇願するほどの苦痛にいつまで耐えられるかな？
（……！ そんな……ピーとは自主規制ですか？）
で？
あなたは誰なの？
（……さっき話した事は本当です。あの初代の神が魂を抜くところを聞いていました。確かに魂が二つに割れて……初代の神は片方の息子の魂の醜さに愕然としていました）
それが本当の話し方なんだね。
……誰なの？
そんな昔から生きているなんて……
魔族だよね？
（確かに魔族です。聖女様……お願いです。共に行きましょう）
……？
どこに？
（種族王の交代です）
え？
（堕落した種族王の代わりに我らの族長が新たな王になるのです）
……はぁ。
あのさ、頭大丈夫？
（え？）
知らないの？
今、種族王達は最高に強い状態なんだよ？
（え？）
本当に知らないの？
（……本当ですか？）
本当だよ？
最近、会っていないの？
（はい）
まずいね。
すごく強いんだよ？
（どうしましょう。じつは、今朝、聖女様を拐う為に幸せの島に近づこうとしたところを初代の神に捕まって、魚の姿にされたのです）
え？
わたしを拐いに来たの？
（今頃、グリフォン王国に仲間が攻め込んでいるはずです。オレは、聖女様を拐って族長の『つがい』に……）
どうしてグリフォン王国なの？
グリフォン王国の傘下に入っているの？
（はい。新たなグリフォン王はまだ幼いので簡単に王座を奪えるだろうと……）
……あのさ、種族王はそんな簡単になれるものじゃないよ？
王様の子だからって理由で今のグリフォン王が王になったと思っているの？
（種族王の座は王からの指名制です。ですが優秀な前グリフォン王とは違い今のグリフォン王はまだまだ幼く……）
弱いから簡単に倒せるって思ったの？
今のグリフォン王は弱くないよ？
（え？ そんな……では……今頃、仲間達は……）
全滅じゃないかな？
（……そんな！）
それに……そういうのって前もって相手に伝えておく決まりがあるんじゃなかった？
あと、全種族王にも伝えるんだよね？
お父……魔王にも話してある？
（え？ そうなのですか？）
少し前にも似たような事があって、ドラゴン王に伝えていなくて大変だったんだよ？
（え？ どうしましょう。知りませんでした）
うわぁ……
これはまた揉めそうだね。
