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遅刻しそうになっても慌ててはいけません

 こうして、慌てて準備をしたわたしはヴォジャノーイ王のお菓子のお土産の入ったバスケットとベリアルを抱っこしてアカデミーに空間移動した。


 よし。

 誰もいない場所に空間移動したね。

 これなら誰の目も痛くならないよ。

 ってしまった!

 走らないと間に合わないかも!

 ……?

 ここは、どこかな?

 昨日来たばかりだからよく校舎の造りが分からないよ。

 とりあえず外に出て……と。


「ぺるみ、あっちだ! 昨日の先生の匂いがするぞ?」


 おぉ!

 ベリアルは警察犬みたいだね!

 かっこいいよ。


「ありがとう。助かるよ。じゃあ走るからしっかり抱っこされていてね?」


「おい。走るのはダメだ。曲がり角にいる男が全員姿を消す事になるぞ」


「……! 確かに! ハデスならやりかねないよ。よし、早歩きだね!」


「いや、先生が移動しているぞ。あの階段の上……あの窓だ!」


「え? そういえば昨日あの窓から降りたよね。よし! しっかり掴まってね」


 この高さならジャンプで軽々行けるよ!


 ふふふ。

 ハデスの鍛錬のおかげだね!


「え? ええ!? えええ!? ペリドット様あぁぁぁ!?」


 おぉ、前の席のジャックが驚いているね。

 窓が開いていて良かったよ。

 閉まっていたらガラスを突き破っていたね。

 危ない危ない。

 って、クラスメイトの口も開きっぱなしになっているよ。


「ごめんごめん。遅刻しちゃいそうなうえに曲がり角が危険でね。窓から来ちゃった」


「曲がり角が危険……? ですか?」


「うん。パンをくわえていると特に危険だよ?」


「……? そうなんですか?」


「遅刻しなかったかな?」


「はい。まだ先生が来ていないので大丈夫です」


「はぁ……良かった」


 さすがに二日目から遅刻はまずいからね。


「良くないぞ……」


「え? ヒヨコちゃん? どうしたの?」


「朝ごはん食べてないだろ! そのバスケットのお菓子を食べたいんだ!」


 今朝は色々あったからね。

 ベリアルも何も食べていなかったんだね。


「あぁ……そうだよね。でも、さすがに先生の前でお菓子を食べたらダメじゃないかな? うーん。ヒヨコちゃんだけ家に帰ってご飯を食べてくる?」


「え? そんなのダメだ! オレはぺるみを守る為にここにいるんだからな!」


 ……!?

 かわいいヒヨコちゃんのボディガード!?

 ぐふふ。

 最高だね。


「きゃああ! ヒヨコ様、素敵ですぅ!」

「あぁ……かわい過ぎて、めまいが……」


 ふふふ。

 クラスメイト達もベリアルのかわいさにメロメロだね。

 

「やめろよ。恥ずかしいだろ?」


 くぅぅ!

 照れるヒヨコちゃんも超絶かわいいよ!

 ちょっとイケメン風なベリアル……

 ぐふふ。

 堪らないね。


「ヒヨコ様! お菓子を先生に見えないように食べてみては?」


「ん? お前はジャックか」


 あれ?

 ベリアルはどうしてこの男の子の名前を知っているのかな?


「え? どうしてオレの名を?」


「だって昨日『自分はジャックだ』って言ってた奴らの中にいたからな」


 なるほど。

 言われてみればそうだね。


「あぁぁ! 幸せです! まさかヒヨコ様に名を呼ばれるとは!」


「ん? オレに呼ばれると嬉しいのか? で? どうすれば先生に見つからずにお菓子を食べられるんだ?」


「教科書を立てて見えないようにして食べるんです」


 古典的だね。

 でも、教科書に隠れながらお菓子を食べるヒヨコちゃん……

 かわいいよっ!


「うわあぁ! ジャックは天才だな! よし、ぺるみ! 早速教科書を立てるんだ!」


 ……バスケットの中身はサクサクに焼かれたクッキーなんだよね。

 姿は見えなくてもクッキーをサクサク食べる音が響き渡りそうな予感がするよ。

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