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おじいちゃんから語られた真実(3)

今回は初代の神である吉田のおじいちゃんが主役です。

 だが、ペルセポネと名づけられた子は産まれてすぐに主治医に呪いをかけられ毒を……飲まされ続ける事になり……(わたしは……それを……そして……)命を絶たれた。

 わたしの息子の……片方……あぁ……また生きられなかったのか。

 そして、すぐに知る事になる。

 あの子の魂が異世界に逃がされたと。

 わたしがあの時、息子の為に創った世界。

 まさか、こんな形で息子の魂が行く事になるとは。

 

 そして、その魂に寄り添う為に、孫のゼウスは神の座を捨てた。

 息子を捨て自害までさせたわたしと、娘の為に神の座を捨てたゼウス……

 ペルセポネの魂はわたしの息子だが……

 もうそう思うのは、やめよう。

 子の為に全てを捨てたゼウスに勝てるはずがない。

 愚かなわたしの出る幕は無い。

 それに、今度こそ……幸せに……穏やかな心に……なって欲しい。

 わたしは、いない方が……関わらない方が良いのだ。

 こうして、わたしは離れた場所からゼウスとペルセポネの魂を見守り続けた。

 そして、長い年月を経てゼウスは『天ちゃん』として第三地区に住み続けるようになった。

 わたしは遠くから姿を消し見守っていたが……

 見つかってしまったのだ。

 幼い頃のお月ちゃんに。

 見えないはずなのにどうしてだろう?

 お月ちゃんの神力が他の人間より強いからか?

 そして……お月ちゃんに見つかったその日、集落にいた本物の晴太郎はれたろうが転落死した。

 集落の人間は天ちゃんのせいで皆長生きで丈夫だった。

 こんな機会はもう無いだろう。

 わたしは、その身体に憑依し、晴太郎として暮らす事にした。

 晴太郎が亡くなったのは四歳の時だった。

 わたしは、その身体でお月ちゃんの友として成長した。


 お月ちゃんは活発でかわいくて……

 いつの間にか、わたしはお月ちゃんに恋心を抱いていた。

 だが、第三地区では集落の者同士の結婚は禁止されていた。

 お月ちゃんの幸せを近くで見守ろうと心に決めていたが……

 天ちゃんのせいで集落の人間は子を産むと片親だけになるようになっていた。

 お月ちゃんは一人で星治を育てる事になった。

 その頃はまだお月ちゃんの母親も生きていたから良かったが……

 星治が結婚し、ついに第三地区にルーが産まれてきたのだ。

 ルーの身体には元々魂が無く、そこに天ちゃんがペルセポネの魂を入れ込んだ。

 わたしの息子が……あの子が……幸せに暮らせる日がきた。

 

 そう喜んでいたある日、天族がお月ちゃんの命を奪ってしまった。

 わたしは、晴太郎の身体を使っている為に神力を使う事ができなかった。

 強過ぎる神力が晴太郎の身体を傷つけてしまうからだ。

 勝手に使わせてもらっているのに傷つけては申し訳ないと完全に神力を封印していたせいで、大切なお月ちゃんを守れなかった。

 そして……ルーは溺死し、この世界でルゥとして暮らす事になった。

 わたしは、すぐに群馬で病死した……という事にした。

 ルーがいなくなった群馬に天ちゃんが残るはずがない。

 天ちゃんがまだ群馬にいるうちに死ななければこれからの辻褄が合わなくなる。

 わたしは、お月ちゃんが亡くなったあと、晴太郎の身体から出てこの世界を調べ回った。

 そして、天ちゃんが群馬の集落で亡くなった人達の魂を、この世界の第三地区に連れて来ている事を知ったのだ。


 案の定、天ちゃんはわたしの魂をこの世界に連れて来て新しい身体を与えてくれた。

 それからは、毎日が幸せだった。

 もう、ここは群馬の集落ではない。

 愛しいお月ちゃんと愛を育める。

 

 それからはマンドラゴラになったりしながらも、ルーが穏やかに幸せに暮らす姿を見守る事ができた。

 天族と揉めたり、今は人間とも色々あるが……

 わたしは……

 ずっとこの第三地区にいたい。

 初代の神、ウラノスとしてではなく『晴太郎』として。

 もう二度と大切な人と離れたくない。

 ぺるぺるとも……お月ちゃんとも。

 だから、きちんと話して謝りたい。

 赦してもらえなくても、軽蔑されても……

 もう嘘をつき続けたくない。

 大切な人達に……


 それなのに……わたしは……

 あぁ……

 また過ちを……

 すまない。

 ベリアル……

 すまない。

 ぺるぺる。

 全てわたしのせいなのだ……

 

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