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これから一体どうしたら?

今回はハデスが主役です。

 朝の六時になりペルセポネと毛玉の姿のまま第三地区に向かう。


 空間移動も身体が裂ける事なく安全にできているし、もう安心だな。


「冥王様! 絶対にペルセポネ様と帰ってきてください!」

「ペルセポネ様あぁ! 絶対にぜーったいに帰ってきてくださいね!」

「うわあぁ! ペルセポネ様! 行かないでえぇ!」


 ケルベロスの三つの頭が必死に叫んでいる……

 誰もが恐れる冥界の門番と呼ばれるケルベロスも、ペルセポネの前ではただの犬だな。

 ……抱っこされしっぽが揺れている今のわたしが言える事ではないか。


 第三地区に着くと広場で地区の人達が待っている。


「ぺるみ! 大丈夫だったか!?」

「具合はどうだ?」

「禁断症状はでたのか?」


 ……?

 なぜ禁断症状の事を知っている?



「ハデス! 来たのね! ペルセポネは大丈夫だった?」


 ペルセポネが毛玉の姿のわたしを広場の机に乗せると、デメテルが天界から空間移動してくる。


「ペルセポネの身体に何が起きているのだ?」


 まさか、魂を受け入れられないのか?


「やっぱり知らなかったのね。実は……ペルセポネの身体は一時間に一度モフモフに触らないと禁断症状が現れるの」


 ……え?

 禁断症状……?

 なんだ、それは?

 

「生まれつき……という事か?」


「ええ。そうなの。カーバンクルを憶えているかしら?」


「カーバンクル……?」


「ペルセポネが赤ん坊の頃からずっと一緒にいるモフモフよ?」


「ずっと一緒に……?」


 確かに……ペルセポネの側にずっとモフモフがいたような……?

 もう数千年前の事ではっきり思い出せないな……


「冥界にも一緒に行ったはずよ? 真っ白いフワフワの毛に真っ赤な瞳で、おでこに宝石がついているウサギみたいな生き物よ?」


 ……!

 思い出した!

 あの邪魔な奴か。

 ペルセポネと仲良くしようとすると威嚇していたな。

 

「あいつは今はどこに?」


「それが分からないの。ペルセポネの身体が消えた時に一緒にいなくなって、そのまま帰ってこないのよ」


「もう数千年も行方不明という事か……」


「冥界にはいないかしら?」


「いなそうだな。いればペルセポネの側から離れないだろう」


「……そうね。うさちゃんはペルセポネが大好きだったから」


「うさちゃん?」


「ペルセポネが名付けたのよ? ふふふ。かわいいでしょう?」


 ウサギに似ているから、うさちゃん……?

 そういえば、マンドラゴラにも赤ちゃんとかお姉ちゃんとか安直な発想……いや、分かりやすい名を付けていたな。


「うさちゃんを捜して、またペルセポネの側にいてもらいましょうか? 今、天界を捜しているのよ?」


 あのウサギを?

 あいつは、ペルセポネの側にぴったりくっついて離れないからな……

 正直言えば邪魔だ。

 口づけさえ邪魔をされ、できなかったからな。

 

「わたしが毛玉の姿になっていれば、あいつは必要ないだろう?」


 ペルセポネとの時間を邪魔されてたまるか。


「ハデス……あなた……ペルセポネの禁断症状を甘く見ているわね? ほぼ毛玉の姿で過ごす事になるわよ? 子作りはどうするの?」


 ……!?

 こ……子作り!?

 確かに……毛玉の姿では……

 ダメだ!

 興奮してしっぽの揺れが止まらない!

 だが……


「あいつがいればまた邪魔されて、それどころではなくなる。同じ事だ」


「え? またって……まさかハデスちゃんったらルーだけじゃなくてペルセポネとも……ぷはっ! 純情なんだなぁ。あははは! お? かわいいしっぽだなぁ!」


 ヨシダのおじいさん……

 揺れるしっぽをおもしろがっているようだな……


「うわあぁ! やめろぉ!」


 この声は……?

 ベリアル?


「ふふふ……やめろって言われてやめるくらいなら……最初から吸わないんだよ! スーハー」


 ペルセポネ!?

 いつの間にかベリアルを吸っている!?

 しかも、ルゥの時よりもモフモフに対する変態的感情が強くなっている!?

 

 ベリアルを吸うのは絶対に許せない!

 だが、ウサギも邪魔だ。

 ずっと毛玉の姿でもいられないし……

 ああ! 

 どうしたらいいのだ!?


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