表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

296/1484

指切りしたんだから……お願いだよ

「おじいちゃん……いなくならないよね? ずっと……これからも側にいてくれるよね?」


 お願いだよ。

 おじいちゃんの事が大好きなんだよ。


「ぺるぺる……」


 辛そうな顔……

 嫌だよ!

 絶対に嫌だよ!

 おじいちゃんは寂しがりやなんだから、ひとりぼっちになったおじいちゃんの姿なんて考えたくないよ。


「お願いだよ……わたしだけじゃないよ? おばあちゃんだって寂しくて耐えられないよ……」


「お月ちゃん……? お月ちゃん……」


「第三地区の皆だって寂しいはずだよ?」


「……」


「もし……おじいちゃんがどこかに隠れても……わたしは捜しに行くよ? 見つかるまで何年だって何千年だって捜すよ? おじいちゃんは大切な家族だから」


「家族……」


「おじいちゃん……約束……しよう? あの時は指切りをしなかったよね? おばあちゃんが群馬で亡くなった時の『死ぬ時は一緒に死んでやる』っていう指切り……覚えている?」


「覚えてるさ……忘れるはずがねぇ……ルーは自分を責めて、今にも自殺しちまいそうで……だから、もしそうしてぇなら一緒に死んでやろうと思って……」


「わたしね? この世界に来て考えたの。あの時、指切りをしなくて良かったって……おじいちゃんを巻き込まなくて良かったって。指切りをしていたらおじいちゃんも、わたしが溺死したあの時、あとを追っていたかもって……」


 ダメだよ……

 涙が止まらない……

 ちゃんと話さないといけないのに……


「ルー……」


「今度は……ちゃんと指切りしよう? ずっとずっと一緒にいるって……おじいちゃん……お願い……おじいちゃんは罪滅ぼしだとしても……傷つき過ぎだよ……お願いだから……ひとりぼっちになんてならないで……」


「……」


 おじいちゃんの胸の前に小指を立てた右手を伸ばす。


 お願い……

 指切りして?

 

 震えるおじいちゃんの小指が、ゆっくりとわたしの小指に絡みつく。


「おじいちゃん……約束だよ? 嘘ついたら針千本だからね?」


「ハリセンボン……」


 震えながら抱きつくと、おじいちゃんの身体も震えているのが伝わってくる。


「約束だよ? 約束……絶対いなくならないでね? おじいちゃん!」


「約束……約束……か。ぺるぺる……すまねぇなぁ……じいちゃんを赦してくれ……」


 え?

 おじい……ちゃん?

 目の前が……暗くなっ……


 

 気がつくと……

 おばあちゃんの布団で……眠っていたの?

 幸せの島のガゼボにいたはずなのに。

 どうして?

 まさか……おじいちゃんに眠らされた?

 じゃあ、おじいちゃんは?

 おじいちゃん……

 胸のドキドキが苦しい……

 嫌な予感がするよ。

 

「お? ぺるみは起きたんか?」


 おばあちゃん?

 こたつでお茶を飲んでいる……?

 おじいちゃんは!?

 どこにいるの!?


「おばあちゃん! 吉田のおじいちゃんは!?」

 

「あぁ……昨日の夜、ぺるみが砂浜で寝てたって連れてきてくれてなぁ。そういえば今朝はまだ起きてこねぇなぁ」


 まだ……起きてこない?

 まさか……

 まさか……

 ダメだよ……

 ダメ!

 いなくなったりしていないよね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ