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全部の線が繋がったね。お願いだからもう自分自身を赦してよ

「……」


 吉田のおじいちゃんが辛そうな顔で何かを考えているね。


「おじいちゃんはわたしとハデスの子供を……おじいちゃんの言う『化け物』にするつもりなの? さっきのベリアルみたいに?」


「……」


「だとしてもわたしもハデスも……ベリアルを愛するように大切に育てるよ?」


「……」


「わたしは……月海るみの記憶しかない時、この世界に来たの。人間しか見た事がなかったけど、この世界の魔族を見ても気持ち悪いとか醜いとか思わなかったよ。だって、皆優しい瞳をしていたから……大切なのは容姿じゃなくて中身だから。それに皆、すごくかわいいんだよ?」


「ぺる……」


 あぁ……

 わたしの考えは合っているのかな?


「おじいちゃん……わたしは……おじいちゃんが『この世界に送った息子』なんだね」


「……!」


「この事に気づいた時、全てが繋がったの。黙っている事もできたけど、おじいちゃんは心の声が聞こえるから……」


「ぺる……あぁ……いや……」


「天界でペルセポネとして過ごしていたわたしに『声を出して自分から助けてって言わせたかった』って言ってくれたよね? ファルズフに酷い事をされ続けていた事を自分から話させようとしてくれていたよね?」


「……」


「だから……声に出して伝えるよ? 声に出さないと伝わらないから……」


「ぺる……」


「おじいちゃん……わたしの魂は……おじいちゃんの息子さんの魂なんだね」


「……」


「前におじいちゃんが話してくれたよね? 息子さんが亡くなった時、冥界に行かせない為に自害をさせたって。おじいちゃんはその魂を天界に送ったんじゃないかな? そして……お父様とお母様の娘の身体に入れた」


「……!」


「そして、見守り続けてくれた。『人間と魔族の世界』で、魔族の姿になって息子さんの側にいてくれたように……」


「記憶が……あるんか?」


「……無いよ? おじいちゃんは初代の神様だよ? そのおじいちゃんが消した記憶が戻る事は無いよ」


 あぁ……

 事実だったんだね。


「ぺるぺる……じいちゃんは……愚かだ……どうしてもあの子を……手離せなかった。自分が捨てた子なのに……あの子が死んだあとも……」


「おじいちゃんがどれだけ息子さんを大切に思っているかは知っているよ? それに……わたしはペルセポネとして天界にいた時も、月海るみとして群馬にいた時もおじいちゃんの姿を見てきたんだよ?」


「ぺるぺる……?」


「わたしは……わたしには息子さんの時の記憶は無いけど、ペルセポネになってからの記憶はあるよ? おじいちゃんは天界では手のかかる『おじい様』で、群馬では手のかかる『お父さん』だったの。父親のいなかった月海の『お父さん』だったんだよ?」


「ルー……」


「おじいちゃんは息子さんをずっと近くで見守って……ペルセポネも月海もルゥも見守って助けてくれた」


「……」


「おじいちゃんは……確かに息子さんを捨てたかもしれない。でも、それからはずっと、友として、祖父として、父として側にいてくれたんだよ?」


「ぺるぺる……じいちゃんは赦されねぇ事を……」


「おじいちゃんは群馬では、ちょっと手がかかって……ちょっとエッチで……いつも変な踊りをして……でも……素敵な『お父さん』だったよ?」


「『お父さん……』」


「うん……お父さんだよ」


「ぺるぺるは……じいちゃんを赦してくれるんか? あの子を捨てたじいちゃんを……父親なのに……醜いからって捨てたのに……」


「息子さんの頃の記憶はわたしには無いけど……わたしは……おじいちゃんの事が大好きだよ」


「……!」


 おじいちゃん、お願いだからもう自分自身を赦してあげて?

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