友達が帰郷して楽しそうにしていると自分まで嬉しくなるよね
「よし、アカデミーに着いたぞ? マリーとジャックは……いた!」
ベリアルがパンみたいな翼に市場で買ったクッキーを持ってプレゼントしているね。
「ヒヨコ様……ありがとうございます! うわあぁ! ヒヨコ様の形のクッキーだ!」
「すごいね! 王様と一緒に食べよう?」
マリーちゃんとジャックは本当に王様が好きなんだね。
「じゃあ、出発するぞ。目を閉じてろよ?」
……?
ベリアルは急いでいるみたいだね。
早く帰って寝たいのかな?
「着いたぞ? まだ目を閉じてろよ?」
確かにまだ眩しいね。
薄目を開けてみよう。
よし、もう大丈夫だね。
……あ。
これって……
「よし! 目を開けていいぞ」
ふふ。
だからベリアルは急いでいたんだね。
「もう眩しくないの?」
「一緒に目を開けよう?」
「「せーの!」」
「……え?」
「「マリーとジャック! お帰り!」」
王様と、マリーちゃんとジャックの家族かな?
優しそうな人間達の笑顔に心が温かくなるね。
マリーちゃんは泣いているね。
ジャックも涙目になっているよ。
やっぱりマリーちゃんとジャックは幼馴染みだったんだね。
それぞれの家族と抱き合っているよ。
「どうして? わたし達が来る事を知ってたの?」
「今朝、そちらのお方が我が国の宝石加工の技術を見せて欲しいと訪ねてこられてな。小さな『傘』と『ボンネット』という物を作って欲しいと依頼されたのだ。マリーとジャックに頼まれたと聞いた時には涙が溢れたぞ?」
王様も笑顔だね。
見ているわたしまで嬉しくなるよ。
「え? わたし達は頼んでないよ? さっき初めて会ったし」
マリーちゃんが困惑しているね。
全く知らない相手が自分の名前を出していたら怖くもなるよね。
「姫様に頼まれたのですよ。ですが、いくら姫様からの話でも職人の腕が悪ければ契約はしませんでした。こちらの国の職人には素晴らしい腕を持つ者が大勢いました。その腕を買い新たな商売のパートナーに選んだのです」
「姫様ってペリドット様? ありがとうございます。あの……これからはもうデザインが古いとか貴族にバカにされずに済みますか?」
「わたしがついていれば常に時代の最先端を行く事になるでしょう」
おぉ……
ベリス王は自信満々だね。
「うわあぁ! ありがとうございます! ありがとうございます!」
マリーちゃんとジャックも嬉しそうだね。
「あの……王様、少しいいかな? 四大国の王様達と話をしたの。王様達は今この国が水を塞き止められている事を知っていたよ? わたしが水を降らせたり魔法石をあげたりすれば簡単なんだけど、それだと、また違う問題が起きそうなの」
「隣国との火種になるという事ですね?」
「うん。王様の言う通りだよ。飲み水はまだ足りそう?」
「はい。細い川は流れていますので」
全部の川を塞き止めたわけじゃないんだね。
「そう。水神様……? の伝説って、確か水のドラゴンだったかな?」
「はい。遥か昔の出来事だったようです」
「そう……何色のドラゴンだったか分かる?」
「言い伝えによれば美しい水のような容姿だったそうです」
水のような容姿?
ポセイドンが創ったみたいな水でできたドラゴンっていう事かな?




