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誘拐犯殺害の犯人が分かったかも

「では、残されていた闇の力は?」


 マグノリア王が尋ねてきたけど……

 わたしにも分からないんだよね。


「うーん。お兄様? 魔力はどの辺りに残っていたの?」


 海賊の魚人族も言っていたから間違いはないはずだけど。


「魔法陣の辺りにらしいんだ。でもお兄様には分からなくてね」


 お兄様には分からない?

 お兄様は闇の力を感じた事が無いから分からなかった?

 それとも、実際に闇の力は残っていなかった?


「魔法陣の辺りか……うーん。ヒヨコちゃんはどう思う?」


「ん? そうだな……闇の力なんて全然感じないぞ? この魔法陣だってただのお絵描きだろ?」


 やっぱりベリアルもそう思うよね。


「わたしが考えていたのは……闇の力はね? 人間の弱い心に取り入るらしいの。それで、闇の力を使った人間は亡くなってしまうんだって。だから、この牢で闇の力を使った人間はこの場で闇の精霊に命を奪われていたんじゃないかって思っていたの。でも実際は魔法陣は偽物だし、神聖物は物理的に壊されていた」


「ペリドットは今回の誘拐犯の殺害は闇の力では無いと思うのかな? 実は……かわいいペリドットには知らせなくなかったんだけど、誘拐犯の遺体はかなり腐敗していたんだ。五分前に看守が見た時には普通に生きていたのに、五分後には……ドロドロに腐っていたんだよ」


「……五分で? 確かにあり得ない話だね。そういう事ができる毒はないのかな?」


「うん。お兄様もそう思って毒を調べたけどさすがに五分で身体を溶かせるような毒は無かったね」


「身体を……溶かす?」


「……? ペリドットには思い当たる事があるの?」


「あぁ……まだ分からないけど……遺体はもう埋葬されたのかな?」


「いや、棺に入れて氷の魔法石で冷やしてあるよ? ……ペリドットは見ない方がいいよ?」


「……遺体から鼻がツンとする匂いはしなかった? 腐ったのとは違う臭いなんだけど」


 何かの薬品をかけて溶かしたとかかな?


「臭い? 腐敗臭しかしなかったよ?」


「そっか。闇の精霊に訊いてみようかな? 今、呼び出してもいいかな?」


 上位精霊のシェイドなら分かるかも。


「え? でも危ないって言わなかった? ペリドットを危険な目には遭わせられないよ」


 契約印があるから呼び出すだけなら危なくないんだよね。

 シェイドは物静かで優しいから安全な気もするけど、実際闇の力に変換したらシェイドの意思とは関係なくわたしの身体が消滅するかもしれないらしい。

 心が闇に負けたら自分の命も終わる……か。

 だからハデスは絶対に闇の力を使うなって言うんだよね。


「大丈夫だよ? さっきまで一緒にいたし。話をするだけなら平気なの」


 右手を伸ばして契約印からシェイドを呼び出すと話し始める。

 一応声を出そうかな?

 心の中で話すとただ黙っているみたいに見えるからね。


「呼び出してごめんね? あのね、訊きたい事があるの」


(……何?)


 体育座りして遠くにいるね。

 そっちは綺麗じゃないからこっちに来て?


(……近くは無理)


「あ……うん。ここに闇の力の痕跡があったらしいの。何か分かるかな?」


(……闇の力?)


「どう?」


(……闇の力、少しある)


「じゃあ、誰かが闇の精霊を呼び出したっていう事?」


(……闇の精霊を呼び出せるのはぺるみと……だけ)


 ん?

 良く聞こえなかったよ?


「……え? じゃあ……誰が闇の痕跡を残したのかな?」


(闇の精霊じゃない。あいつだ。今のあいつは精霊を呼び出さなくても闇の力を使える)


「あいつ?」


 誰かな?

 

(これ以上は知らない方がいい)


「え? どうして?」


(……帰る)


「え? 帰るの?」


(怖いから帰る)


「え? 何が?」


 待って?

 人間じゃない。

 精霊でもない。

 他に闇の力を使える人は……

 そういう事か……

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