変態だって呆れられてもベリアル愛は止まらないんだよ
「ははは! 若きリコリス王の政策が実を結びましたなぁ」
え?
今の声は……マグノリア王!?
どうして市場にいるの!?
「なかなか良い市場だな。おぉ……ヒヨコ様のクッキーか。これは素晴らしい。ひとつもらおうか。いくらかな?」
アルストロメリア王もいるね。
ちゃんとお金を払ってくれるんだ。
「なるほど、民が集まり市場を……これは何かな?」
デッドネットル王までいるよ?
カルメヤキに興味津々だね。
「まさか……四大国の……なんという事だ! 皆、頭を下げなければ……」
相談役はかなり慌てているね。
市場の皆が座り込んで頭を下げているよ。
ん?
四大国の?
お兄様もいるの?
「皆の者。そのようにかしこまらなくて良いのだ。さあ、膝が痛くなるぞ? 立つが良い」
……!
お兄様……
ダメだ……涙が溢れてきちゃうよ。
「うぅ……」
「泣かないで、ルゥ。今はペリドットだね」
「お兄様!」
お兄様に抱きつくと髪を優しく撫でてくれる。
「ずっと会いたかったよ。かわいい妹……あぁ……ペリドット」
「わたしも会いたかったよ。お兄様、勝手にアカデミーに入学してごめんなさい。お兄様が大変だって聞いて……」
「そうだったんだね。お兄様はペリドットに会えて嬉しいよ? だから謝らないで?」
「お兄様……」
「もう泣かないで? そうだ、ペリドットのおすすめのお菓子が食べたいな」
「え? あ……うん! どのお店も素敵なんだよ? えっと……」
おぉ……
皆が自分のお店を紹介して欲しそうにしているね。
困ったな……
「姉ちゃん、相談役のお店のお菓子は? 皆大好きなんだよ?」
「ジャック……本当に良い子だね……」
ジャックのお店もお菓子やさんなのに。
「えへへ。オレ、大人になったら相談役の弟子になるからね! 今のうちに媚を売っておくんだ!」
「あはは! ジャックは賢いね! 相談役のおじいちゃん、お菓子をいいかな?」
そういえば、相談役は何のお店をしているのかな?
「……はい。あ……手が震えて……」
四大国の王様が目の前にいれば緊張するよね。
「大丈夫だよ? ゆっくりで良いからね。相談役は何を売っているの?」
「はい……飴細工です」
「え? 飴細工? うわあぁ! すごいね。ヒヨコちゃんの形も作れる?」
すごいね。
この世界にもあるんだ。
「あぁ……手が震えて……よし……どうでしょう。ヒヨコ様に見えるでしょうか」
「すごい! ヒヨコちゃんにそっくりだよ! もったいなくて食べられないよ」
つぶらな瞳までそっくりだ。
ばあばにお願いして永遠に溶けなくしてもらわないと!
ぐふふ。
「なんだ? 食べないのか? じゃあオレが食べてやる。ポリポリ……」
「ええ!? あぁぁ……」
ベリアルがヒヨコちゃんの飴をポリポリ食べ始めた!?
うぅ……
悲しすぎて膝から崩れ落ちちゃったよ。
宝物にしようとしたのに……
「なんだ? 腐らせたらもったいないだろ?」
「うぅ……かわいかったのに……ぐすん」
「泣かなくてもいいだろ? ……お前にはオレがいるんだから」
「……!」
お前にはオレがいるんだから
お前にはオレがいるんだから
お前にはオレがいるんだから
「なんだよ? ……嫌なのか?」
「う……」
「う?」
「うわあぁ! 鼻血が出ちゃったよぉぉぉ!」
「は!? お前……何を想像したんだ? 変態め!」
「恥ずかしいよぉ。お兄様に見られちゃったよぉ」
「お前、それどころか大国の王と市場の人間も呆れてるぞ? これを期にもう変態から足を洗うんだな」
うぅ……
恥ずかしいよ。
恥ずかしいけど……
変態から足を洗うなんて無理だよ。
だってベリアルはかわいくて我慢なんてできないんだから。