どうしよう……オレが化け物になった姿を皆に見られちゃったよ
今回はヒヨコのベリアルが主役です。
「ベリアル? ベリアル! どこだ!? 誰か来てくれ! ベリアルがいなくなった!」
ばあちゃんが叫んでる。
どうしよう。
こんな化け物みたいな姿じゃ皆オレだって信じてくれないよ。
いきなり攻撃されたらどうしよう。
怖い……
怖いよ。
「ベリアル! どこだ? 返事しろ!」
ばあちゃん……
怖がらないでくれるかな?
気持ち悪いって言われないかな?
「ばあちゃん……ここだよ……」
……怖いよ。
身体が震えて……声も震えるよ。
「ベリアル!? ベリアルなの!?」
ぺるみ?
ぺるみもオレを捜しに来たのか?
……もうかわいいヒヨコじゃないから、悲しむだろうな。
お前なんかいらないって言われたらどうしよう。
行く場所なんて無いのに。
「おばあちゃんの部屋から声が聞こえたよ? ベットが壊れて怪我をしているかも!」
ぺるみ……
入ってくるな。
ばあちゃんの部屋の引き戸を押さえれば入ってこれないかな?
「あれ? 開かない? おばあちゃん、開かないよ?」
「ん? 鍵なんてねぇからなぁ。中から押さえてるんかもなぁ」
「……え? ベリアルが? どうして? ベリアル! わたしだよ? 開けて?」
「どうしたんだ? ベリアル、ばあちゃんだぞ? 開けてみろ?」
どうしよう。
すごく心配してるみたいだ。
でも開けられないよ。
とりあえず、扉越しに事情を説明しよう。
いきなりこの姿を見たら怖がるかもしれない。
「……ぺるみ……ばあちゃん……オレ……あの……」
なんて言ったらいいんだ?
いきなり化け物になってたって言うのか?
そんな話信じてくれないよ。
「……ベリアル? 声が……」
「どうしたんだ? 喉がおかしいんか?」
声もヒヨコの時とは違うんだな……
「ベリアル……まさか……」
ぺるみ?
まさかオレがこの姿になった事に気づいたのか?
「……ベリアル、誰にでもある事だよ? だから気にしなくていいんだよ? 出ておいで?」
え?
誰にでもある?
皆、いきなり化け物になるのか?
そんな話、聞いた事無いぞ?
「『おねしょ』しちゃったんだね。ベットを壊してまで証拠隠滅しようとするなんて……超絶かわいいよ。ぐふふ」
……!?
おねしょ!?
このオレが!?
ぺるみはオレの方がかなり年上だって忘れてるのか!?
ヒヨコの姿だったから赤ちゃんか何かだと思ってるのか?
「もうっ! かわいいんだからっ! ぐふふ」
「はあ!? オレはおねしょなんてしてないぞ!」
……あ。
引き戸を開けちゃった……
ぺるみもばあちゃんもオレを見つめている。
オレを捜しに来た居間にいる皆にもこの姿を見られちゃったよ。
どうしよう。
どうなるんだろう。
いや、そんなの決まってるよ。
皆がオレを化け物って言うんだ。
追い出されたらどうしよう。
怖いよ。
怖くて皆の顔が見れないよ。
涙が止まらない。
どうして、いつも騒がしい皆が話さないんだ?
そんなにオレは醜いのか?
怖くて身体の震えが止まらないよ。