どうしよう……オレどうしちゃったんだ?
今回はヒヨコのベリアルが主役です。
「ふあぁぁ……良く寝た……ん……どれくらい寝たかな?」
ぺるみに昼寝しろって言われてベットに眠りに来たんだよな。
……?
あれ?
ベットが壊れてる?
ん?
え?
オレ……
身体が変だ。
いつもより動きやすい。
どうしてだ?
……?
え?
これ、オレの手?
嘘だろ?
何でパンみたいな翼じゃないんだ?
しかも……
この手の色……
天族でも人間でもないんじゃ……
鏡……
鏡で確認するんだ。
ばあちゃんの部屋に行けば手鏡があったよな。
え?
背が凄く高い。
「痛っ!」
頭を下げないと天井にぶつかる……?
ばあちゃんの家は小さいけど、それにしても背が高すぎる。
夢か?
でも、さっき頭をぶつけた時、痛かったから夢じゃないはず。
オレに何があったんだ?
……あった。
ばあちゃんの鏡。
怖い……
見るのが怖いよ。
でも、確認しないと……
……!
嘘だ……
なんだよこれ。
オレなのか?
化け物……
どうしてこんな事に?
こんな姿じゃ誰もオレだって気づかないはずだ。
どうしよう……
知らない魔族だって攻撃されたら?
でも、この島の皆はそんな事はしないはずだ。
『はず』……?
絶対に攻撃しないのか?
絶対なんてあり得るか?
今は種族王も来てるんだぞ?
見た事無い種族だって言っていきなり攻撃されたら?
でも、ずっとここに隠れているわけにもいかないし。
あぁ……
ぺるみを空間移動させる約束をしているのに。
明日はオレが主役の劇をするって張り切っていたのに。
……でも、こんな姿じゃもう無理だ。
かわいいヒヨコだったから、オレはここにいられたんだ。
こんな姿じゃ皆、気味悪がって追い出されるかも……
どうしよう。
オレにはここしか居場所がないのに……
帰れる場所なんて他にないのに……
魔王……
魔王なら話を聞いてくれるか?
でも……
魔王は強いから攻撃されたら?
どうしよう。
オレだけじゃどうしたらいいか分からないよ。
……ぺるみ?
ぺるみなら……
魔族をかわいいっていつも言ってるし……
そうだ!
ぺるみに助けてもらおう。
……でも、かわいいヒヨコの姿じゃなくなったから、がっかりするよな。
ぺるみはオレがかわいいヒヨコだから大切にしてくれたんだ。
……嫌だよ。
皆にこんな姿を見せたくないよ。
空間移動してどこか遠くに逃げよう。
でも、この身体でできるのか?
失敗したら身体が二つに裂けるんだぞ?
どうしよう。
どうしたらいいんだ?
考えろ。
……ダメだ。
何も思いつかない。
いつまでも、ここにいたらぺるみを空間移動できないって伝えられない。
他の誰かに明日の劇も代わってもらわないといけないし。
話しに行こう。
嫌われるだろうけど、ずっと隠れているわけにもいかない……
でも、怖いよ。
でも……でも……
このまま隠れていたい。
嫌われたくない。
天界にいた時みたいに独りぼっちは嫌だよ。
この姿を見せて気持ち悪いって言われたくないよ……
どうしよう。
オレ……怖いよ。
ずっと隠れていたいよ。
「ベリアル、そろそろ起きねぇと……あれ? ベットが壊れてる? ベリアル? どこだ? ベリアル!」
あぁ……
ばあちゃんがオレを捜してる声が聞こえる。
もう逃げられないよ。
どうしよう。
ばあちゃんが怖がったら。
オレを見て怖がったら……
嫌だよ。
大好きなばあちゃんがオレを見て怖がったら嫌だよ……