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公女断罪(2)

「公女を公爵邸に監禁する事を命ずる!」


 お兄様……

 牢に入れないんだね。

 むしろ、家族と引き離す為に牢に入れた方がいいんだけど。


「……いや、違うな。公女は家族と引き離さなければ今の状態から変わる事は無いであろう。公女はしばらくの間家族と離れて暮らすように。……司教、公女を巡礼に……」


「嫌です」


 おぉ……

 司教が即答したね。

 神官達もすごい勢いで頷いているよ。


「……? え?」


「だから、嫌です」


「え?」


「以前から公女には嫌な思いをさせられてきました。無理です」


 司教は、四大国の犬になったはずなのに早速飼い主に噛みついたね。

 お兄様も『え? 』しか言えなくなっているよ。


「……では、大国の王……」


 仕方ないから、他の大国の王様に頼むつもりかな?


「「「無理です」」」


 おぉ……

 こっちも即答だね。


「……」


 お兄様が黙っちゃったよ。

 助けてあげたいけど、魔族がいる島に連れて帰る事もできないし……

 うーん。


「なんなのよ……どうして皆嫌がるのよ?」


 公女もやっと自分が嫌われている事に気づいたのかな?


「分かったわ? わたしが傾国の美女だからね?」


 ……この公女、鋼の心の持ち主だね。


「ぷはっ!」


 ん?

 吉田のおじいちゃんがどこかにいるみたいだ。


「……仕方ない。公女を牢獄に……」


「お待ちください。孫娘が無礼を……お赦しください」


 ん?

 もしかして、公女の『おじい様』かな?  

 

「孫娘は領地に監禁する事とします。それでいかがでしょうか?」


 ふぅん。

 領地に?

 でもそれじゃあ、公女は変われないよね?

 

「じゃあ、こうしたらどうだ?」


 吉田のおじいちゃん?

 

「これは、天使様! 何か妙案が?」


 アルストロメリア王が瞳をキラキラに輝かせているね。


「お妃候補がリコリス城で共同生活をするんだ」


「ほぉ。なるほど」


 アルストロメリア王?

 なるほどって……

 それだとアンジェリカちゃんとココちゃんが苦労する事は目に見えているよ?

 

「リコリス王はどうだ?」


 吉田のおじいちゃんがお兄様に尋ねているけど、公女がリコリス城にいるなんて嫌だよね。

 散々酷い目に遭ってきたんだから。


「……うーん」

  

 ほら。

 お兄様は、やっぱり嫌なんだよ。


「(かわいい妹と大好きな姉ちゃんと一緒にいられるぞ?)」


「そうしましょう!」


 おぉ……

 お兄様がすごく良い笑顔で……って、あれ?

 ん?

 今、何て言った?

 え?

 大好きな姉ちゃんはココちゃんだよね?

 かわいい妹は……わたし!?

 ちょっと待ってよ!?

 わたしは結婚しているんだよ?

 それに、ハデスと過ごせなくなっちゃうよ!


 あれ?

 少し離れた場所が光った?

 誰か空間移動してきたの?


「……陛下、まさかそちらの令嬢も共同生活を?」


 そちらの令嬢ってわたしの事だよね?

 公爵は自分が悪い事をしたって分かっていないのかな?

 自分の孫の育て方のせいで皆がこんなに迷惑しているのに。

 それに、さっきの公女の発言は処刑されてもおかしくないレベルなんだよ?


「ご挨拶が遅れました。わたくしは『黄金の国ニホン』の王女です。ニホンでは国外に名を隠す風習がございます。どうぞペリドットとお呼びください」


 礼儀正しくしないとね。


「ニホン?」


「はい。魔素に閉ざされていた為に地図には記されておりません」


「……まさか、己が妃になる為に孫娘を笑い者にしたのか?」


 ……?

 はい?

 この人間は……公女に考え方がそっくりだね。

 他国の王族に対してそんな事を言ったらダメだよ?

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