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わたしは腹黒くなんてないもん

「あのヒヨコは何かしら?」

「あの娘は何者だ? 司教様のお知り合いか?」

「アカデミーの制服よね?」

「リコリス王国の貴族……ではないわ? 顔立ちがリコリスとは違うし……」


 うーん。

 貴族達のヒソヒソ話が全部聞こえてくるね。

 

「ペリドット様……気にする事はありません。皆、噂好きなのですよ」

 

 司教にも聞こえていたんだね。


「うん。皆はきちんと並んでいたのに、わたしはこんな最前列に来たから」


「え? 並んでいたのは使用人ですよ? 貴族達は代わりに並ばせていたのです」


「あ……なるほど」


 まぁ確かに貴族が並ぶはずないか。

 使用人は並ばされた上にお披露目を見られないのか。

 かわいそうだね。


「ペリドット様、神様の使いとして絵本に描いてしまいましたが問題ありませんか?」


「ん? 平気だよ? (聖女だった事は隠すつもりもないし)ばれたらきちんと話すつもりだから。それに(神様に身体を授けられたのは事実だから神様の使いっていうのは嘘じゃないよ?)」


「なるほど。ですが明日からアカデミーに通いにくくなりませんか?」


「大丈夫だよ。ドラゴンと共に暮らす少女っていう時点で通いにくいでしょ? 神様の使いの方が、人間受けはいいんじゃないかな? 自分で『わたし、神様の使いなんだ』なんて言ったら痛い女だけど、神殿が認めたのなら嘘じゃないって思ってくれるはずだよ?」


「確かに自らを聖女様だと言う痛い女がたまにいますなぁ。あれは見ていて恥ずかしくなります。神殿はもう聖女様が存在しない事を分かっていますから、皆で笑って見ていたのです」


「ははは。それは恥ずかしいね。でも、今日もアカデミーに一人いたんだよ? あ……神殿に聖女だって認める検査をさせるって言っていたけど……」


「……まだ、耳に入ってきてはいませんが、面倒なので今から始まるお披露目でもう聖女様は存在しないと明言しましょう」


「助かるよ。相手は貴族でプライドが高いからね。検査を申し込まれる前に聖女はいないって言った方がいいね」


「(はい。本当に貴族は面倒なのです)」


「ふふ。司教のそういうところ、好きだよ?」


「ははは。わたしもペリドット様のこういうところが好きですよ?」


 司教とは気が合いそうだね。


「要するに、二人とも腹黒いって事だな? 笑顔が怖いぞ?」


 ……!?

 ベリアル!?

 なんていう事を!?

 

「そのような事はありません。わたしは神様に仕える身ですので、清らかそのものです」


 おぉ……

 司教のこの偽物の笑顔……

 さすが王様まで騙した世界的詐欺師だね。

 わたしも言い訳しないと!


「そうだよ。わたしは神様から身体を授けられたんだから……お腹の中は真っ白だよ?」


 笑顔、笑顔。

 優しく笑わないとね?


「は? お前……どの口がそんな事を言うんだ?」


 ……!?

 これ以上無いくらいの冷たい瞳!?

 ベリアルのつぶらな瞳が、完全にわたしと司教を軽蔑している瞳になった!?


「うぅ……真っ白だもん。わたしのお腹の中は真っ白だもん」


 わたしはまだ司教みたいに図太くはなれないよ。

 でも、いざっていう時の為にベリス王に人間を騙す方法を特訓してもらおうかな?

 ……って、わたしは神様の娘なんだよ?

 そんな事を考えたらダメだよね?

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