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司教は神殿の罪をなかった事にしようとしているみたいだね

「ペリドット様、絵本はいかがでしたか? 子供用なのであまり難しくないようにしてみました」


 司教はとんでもなく図太い精神の持ち主だね。

 こんなに嘘ばかりで恥ずかしくないのかな?


「えっと……神様とか、勝手に使って大丈夫なのかな?」


 神様は『あの』お父様だから問題ないとは思うけど。


「……神様は、お優しいのできっと大丈夫です」


「(嘘ばかりで恥ずかしくなるよ……)」


「大丈夫です。大勢が知ればそれが真実になるのです」


「え? それって詐欺だよね?」


「ははは。まさか……神殿は詐欺はしませんよ?」


 うわぁ……

 これが神様に仕える司教の姿か。

 偽の神聖物で詐欺をしていたのに……

 すごいね。

 その辺の詐欺師がかわいく見えるよ。


「これ……世界中で売るつもりだよね?」


「え? はい。売上金は神殿の為に使わせていただきます」


「……税金とかは嘘をついていないよね?」


「ははは。神殿は税金は免除されていますから大丈夫ですよ?」


「……全額手元に残るのか。司教は今から楽しみだね」


「全ては民の為です。民がこの絵本を心の支えにしてくれる事を……」


「(で? 本音は?)」


「(ガッポリ稼がせていただきます)」


「……やっぱり」


「大丈夫ですよ? 民用の物は高額ではありません。民用と貴族用、王族用の三種類を用意しましたので民からは儲けを出そうとは思っていません」


『民からは』ね……


「ふぅん。今日早速この絵本を読み聞かせするんだよね?」


 貴族と王族からはしっかり儲けを出そうとしているんだね……

 司教は変わらないね。


「はい。民が神殿に神力がなくなる事をどう思うか心配でしたが……わたしはペリドット様のお言葉を信じようと思います」


「わたしの言葉?」


「はい。『この巡礼は民がどれ程神殿を大切に思っているかを分かるものになる』……わたしは本当に命がけで危ない橋を渡ってきました。全ては神殿を守る為に。これから始まる巡礼は、わたしが今までやって来た事の答え合わせの旅になりそうです」


「答え合わせの旅?」


「はい。わたしが司教としてきちんと認められているかという答え合わせです。認められていれば笑顔で迎えられ、司教にふさわしくなかったのであれば石を投げられ罵声を浴びせられるでしょう」


「……怖くないの?」


「わたしは……やりきりました。この数十年、常に走り続けました。きっと……民も……それを分かってくれていると信じています」


「そっか。誇りを持っているんだね」


「はい。誰にも負けない司教であると自負しております」


 ……詐欺をしていた事実を揉み消そうとしているね。

 なかった事にして前に進もうとしているのか。

 たいしたもんだね。

 ここまでくれば立派だよ。

 

「もう、四大国の王様達に会った?」


「はい。先程……色々条件は出されましたが、今まで通り神殿は続けていけそうです」


「そう。良かったね。やり方は間違えていたけど、司教の神殿を思う気持ちは本物だからね」


「……ありがとうございます。ペリドット様が王達にわたしを赦すように……本当にありがとうございます」


「これからは、誰にも恥じない神殿にしてね? 司教ならできるはずだよ?」


「はい。必ず……」


 とりあえず、これで偽物の神聖物と偽聖女問題は解決したね。

 あとは、令嬢誘拐事件と小国の揉め事の解決か。

 はぁ……

 大変そうだね。

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