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『救世主様とヒヨコ様と麗しの姫』って……嘘ばかりの絵本ができたね

『救世主様とヒヨコ様と麗しの姫』


 むかしむかし、あるところにそれはすごい神力を持つ司教様がいました。

 その司教様は属性検査のお礼として水晶に入れた神力を精霊様に渡していました。

 それは司教様が亡くなった後もずっと続いていましたが、ついにその神力が無くなってしまったのです。

 神殿は困り果ててしまいました。

 ついに神力を持つ神官が一人だけになってしまっていたのです。


「あぁ……神殿がなくなればこの世界は混沌の闇に包まれてしまう。神様……神様どうかお助けください。代わりにわたしの命を捧げます」


 司教が祈りを捧げると……

 神々しい光の中から麗しい少女と愛らしいヒヨコ様が現れました。


「わたくしは、神様の使いです。神様のお言葉を伝えに参りました」


 麗しい少女は優しく微笑むとこう言いました。


「とある国に精霊様に愛される『救世主様』が現れました。救世主様がこの世界を幸せに導くでしょう。司教よ。良く頑張りましたね。司教の祈りが神様に通じたのです」


「麗しい少女様……我ら神殿はわたしが亡くなれば神力を失ってしまいます。神殿はもうなくなってしまうのです」


 司教が嘆き悲しむと、愛らしいヒヨコ様が優しく語りかけました。


「司教よ。『いつでも神は神殿と共にある。人々の祈りをわたしに届けて欲しい』と、神様から伝言を授かった。どうか神様のお気持ちを大切にして欲しい」


 そう。

 ヒヨコ様は神様の愛鳥様であり聖獣様でもあったのです。


 こうして、神様のお導きにより救世主様が神殿に神官として迎えられると……

 この世のものとは思えないような透き通るように美しい精霊様が姿を現したのです。


「わたし達は救世主と神殿が好きよ? これからもわたし達は神殿と一緒にいるわ?」


 美しい精霊様はそう言うと救世主様の頬に口づけをしました。


 これからもこの世界はずっとずっと神様と共にある事でしょう。

 神殿はこれからもずっとずっと人々と共にある事でしょう。

 おしまい。

 

 

 ……はぁ!?

 なんなのこの神殿は清らかですよアピールは!?

 嘘ばかりだよ?

 しかも司教が命がけでこの世界を守ったみたいになっているよね!?

 実際は偽物の神聖物を使って王様達に寄付金を出させていたんだよ?

 ただの詐欺師なのに……

 すごいね。

 司教はこの絵本を大量に作って巡礼で世界中に売りさばくつもりだろうね。

 商売上手だよ。

 ……この金の亡者の司教を、ベリス王は金もうけに利用しようとしているんだよね。

 さっきも、生キャラメルとかをさりげなくベリアルのかわいいくちばしから宣伝させていたし。

 貴族達は興味津々だったよ?

 絶対、こうなるように仕組んでいたよね。

 

 ベリス王は司教の上を行く金の亡者っていう事か。

 上には上がいるものだね。

 次は冷蔵庫を作りそうだし。

 ……色々と手伝わされそうな予感がするよ。

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