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わたしもベリアルにトントンして欲しいよ

 ベリアルがリコリス王国の広場近くの人間がいない場所に空間移動してくれる。

 ベリアルを抱っこして広場に向かうと、もう人だかりができている。

 出遅れたね。

 後ろから見るしかないか。

 でも、何も見えないね。

 高い屋根の上からでも見ようかな。


「ベリアル、屋根にでも……」


「あ……聖……ペリドット様……」


 ん?

 誰かに呼ばれた?


「えっと……神官……かな?」


 神官の服を着ているね。

 さっきの属性検査場にいて、わたしを見ていたのかな?


「え? なんて……かわいい……」


 神官がベリアルのかわいさに一瞬でメロメロになったね。

 その気持ち、すごく良く分かるよ?

 宝石がついたかわいいボンネットを被ってレースの傘を持っているからね。

 いつもよりもかわいさが増量中なんだよ。


「ふふふ。ヒヨコちゃんのかわいさが分かるなんて神官は見る目があるね」


「見る目が……? あの……ペリドット様……司教様がお待ちです。あの……ヒヨコ様は……その……」


「ん? どうしたの?」


「わたしが……抱っこしても……」


「お前はオレを抱っこしたいのか? 今のオレはご機嫌だからいいぞ? ほら、特別に生キャラメルを一粒あげるぞ? 傷むから今食べろ」


 ええ!?

 ベリアルが抱っこされながら生キャラメルを人間にあげた!?

 すっかりお兄さんになって……

 初めて会った時の黒歴史的ベリアルとは大違いだね。


「え? あぁ……ありがとうございます。……!? なんだこれは!? 甘くて柔らかくて濃厚で……口に入れたら溶けました! これは……ヒヨコ様……わたしは今日のこの日を決して忘れません!」


「そうか。この生キャラメルはそのうち販売されるらしいからな。今日は特別にもらったんだ!」


「特別に……そのような貴重な物をこのわたしに……あぁ……涙が止まりません……」


 ……いや、普通の生キャラメルなんだけど。


「嬉し泣きか? 好きなだけ泣け。オレがトントンしてやろう」


 ……!?

 トントン!?

 ベリアルのパンみたいなかわいい翼で人間を優しくトントンしている!?

 羨ましいっ!

 わたしも泣いたらトントンしてもらえるのかな?

 悲しい事を思い出すんだよ!

 悲しい事……

 悲しい事……

 何か思い出して早く泣かないと!

 ダメだ。

 興奮し過ぎて涙が出てこない……


「よし。泣き止んだな。じゃあ出発するか。司教が待ってるんだろ? 司教の分の生キャラメルももらってきたんだ! 『皆が見てる前で食べろ』って言われてるんだ」


 ん?

 なるほど。

 ベリス王は、なかなかやるね。

 神殿の司教が皆の見ている前で生キャラメルをおいしそうに食べたら……

 販売されたらすごい事になるだろうね。

 それにしても、わたしがアカデミーに行っている間にボンネットと傘と生キャラメルを作ってこんな作戦まで考えていたなんて。

 さすが、人間相手に悪どい商売をして大儲けしているだけの事はあるね。

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