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ベリアルに頭を撫でられる為なら何でもするよ

「じゃあ、出発するか」


 ベリアルは、おはぎを食べてご機嫌だね。

 わたしはお父様似だって分かって虚しいよ……


 ……あれ?

 眩しい。

 誰か空間移動してくるのかな?

 ハデスかな?


「あぁ……間に合って良かったです」


 ん?

 眩しくてまだ目が開けられないけど、この声はベリス王だね。


「そうね。ギリギリだったわね」 


 ヘスティアの声?

 ベリス王と出かけてきたのかな?

 

「ささ、ベリアル様はこちらを身につけてください」


 ……?

 ベリス王はベリアルに何かをプレゼントしてくれるのかな?


「ん? 『様』なんてつけなくていいぞ?」


 ベリアルはもう目を開けているみたいだね。


「ですが、ぺるみ様のご子息ですので」


「うげ! 嫌だよそんなの! ベリアルでいいよ」


「そうですか? では、ベリアルはこの宝石のついたボンネットを被り、傘を持ってください」


「ん? 帽子はいいとして、この傘はなんだ? レースだから雨が降ったら濡れちゃうぞ?」


「まぁ、日傘ですがほぼ効果は無いでしょうし、おしゃれで持つだけですので。ふふふ。お似合いですよ? これでしばらくは人間の貴族からガッポリ……いえ、喜んでいただけます」


「ふぅん。人間はこんな物を持っておしゃれなのか? 変わってるな」


「いえ。この傘とボンネットは今日から流行るのです。今までこの世界には無かったのですよ? グンマの世界の事を色々教わりまして、早速作らせました。明日から忙しくなりますよ?」


「ベリス王は商売上手なんだろ? ぺるみが言ってたぞ?」


「ははは。人間の貴族からは簡単に稼げますからね。今回もたっぷりと……ふふふ。あぁ……ベリアルにお願いがあるのですが」


「ん? なんだ?」


「(ぺるみ様に……)」


「え? 嫌だよ。無理無理!」


「もし協力していただけるのでしたら……こちらをどうぞ」


「ん? なんだ? これ?」


「ぺるみ様のおばあ様から教えていただいた生キャラメルです。人間相手に販売しようかと思ったのですが、傷みやすい為に無理なようです。レイゾウコとやらを急いで作らないと……」


「生キャラメル!? キャラメルなのか? 食べたい食べたいっ!」


「先程の言葉をぺるみ様に言っていただければ……」


「うん! ぺるみ! ぺるみ! ん? まだ眩しいのか!?」


「違うよ……とっくに目は開いていたんだよ……」


 そうだよ。

 空間移動の眩しさにもだいぶ慣れてきたからね。

 

「ん? じゃあなんで目を閉じてるんだよ?」


「それは……ベリアルが……」


「ん? オレがなんだよ?」


「ベリアルが、眩し過ぎて目が開けられなかったんだよ! ぐふふ! ぐふふふ! 抱っこさせて! 吸わせてよぉ! はぁはぁ……」


 興奮がとまらないよっ!


「お前……気持ち悪っ! 変態め! 触るな!」


「ぐふふ。もっと変態って言って?」


「うわあぁん! 本物の変態だよぉ! でも生キャラメルの為だ!」


「ん? 生キャラメル?」


「ぺるみ……えっと……ベリス王が『かわいそうな人間の為に髪を生やしてあげて欲しい』ってさ」


「え? ベリス王が?」


 もちろん、治療費としてガッポリ儲けるつもりなんだよね?

 うわあ……

 ベリス王が、すごく爽やかな笑顔でわたしを見つめているね。


「ぺるみ……困っている人間の為に頑張るぺるみを見たら……オレ……頭を撫でたくなるかも……」


「え? ええ!? 頭を……撫でたくなる!? わたしの頭を!?」


 聞き間違いだよね!?

 絶対幻聴だよ!

 ベリアルのかわい過ぎる姿に幻聴が……


「そう……だよ。オレがお前の頭を撫でるんだっ!」


 ……!?

 あまりの衝撃に膝から崩れ落ちちゃったよ。

 なんて事なの!?

 ベリアルのパンみたいなかわいい翼でわたしを撫でる!?


「ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる」


「お前……大丈夫か? 詠唱でもしてるのか?」


「ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる。ベリアルがわたしの頭を撫でる」


「……こいつ、大丈夫か?」


「うんっ! 大丈夫だよ! ぐふふ。わたし頑張る! 困っている人間の為に頑張るよ! ぐふふ」


「……お前、絶対人間の為じゃないだろ」


「ぐふふ。ぐふふふ」


 もう頑張るしかないよ。

 ベリス王が貴族からガッポリ儲けるつもりなのは分かっているけど、わたしはベリアルに撫でて欲しいんだもん!

 協力するしかないよ!

 でも、元聖女なのにガッポリ儲ける手伝いをして大丈夫なのかな?

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