ごめんなさい。わたしはお父様似でした
「うぅ……ペルセポネが……かわいいペルセポネがお父様似じゃ嫌だって言ったよぉ。デメテルちゃぁん。うわあぁん!」
あぁ……
お父様を泣かせちゃったよ。
泣きながらお母様に抱きついているね。
「お父様……ごめんなさい。あの……」
なんて謝ったらいいのか……
「うぅ……ペルセポネはお父様が嫌いなの? うぅ……」
「絶対にそんな事無いよ! でも……お父様はアレだから」
「アレ……?」
「ええと……あの……古典的な罠にかかったり……ウリエルを脅して変な物を作らせたり……だから……」
「うぅ……恥ずかしいって事?」
「いや、そうじゃなくて……いや……恥ずかしいかもしれないけど……」
「うわあぁん! かわいいペルセポネに恥ずかしいって言われたよぉ!」
「お父様……でも……でも……えっと……そういうところがかわいいっていうか……そう! そうだよ。神様っていうとしっかりしていて近寄りがたいイメージがあるけど、お父様はそんな事なくて……身近な神様っていうか……」
「……お父様の事……好き?」
「え?」
「お父様の事好き?」
「もちろん! まだ天界にいた時も、群馬にいた時も、今だってずっとずっと大好きだよ?」
「うわあぁ! 本当? 本当に?」
「うん。好きだよ?」
「えへへっ! お父様もペルセポネがだーい好きだよっ!」
良かった。
機嫌が直ったね。
「じゃあ、じゃあ、ハデスとお父様、どっちが好き?」
「ん?」
ハデスとお父様?
「ちょっと……ゼウス? そんなのハデスに決まっているでしょ?」
お母様は呆れているね。
「お父様だよね? お父様が一番好きだよね?」
うーん……
嘘はダメだよね?
「ハデスだよ? ハデスが一番だよ?」
「……! うぅ……うわあぁん! あんなに赤ちゃんだったのにぃ! 『おとうちゃまだいちゅき』って言ってたのにぃ! 『おっきくなったらおとうちゃまとけっこんちゅる』って言ってたのにぃ! うわあぁん!」
……『おとうちゃまとけっこんちゅる』?
そんな事を言っていたんだね。
覚えていないけど……
「ゼウス……もうペルセポネは大人になったのよ? いつまでも赤ちゃんのままではいられないのよ?」
お母様の言う通りだけど……
ずっと側で守ってくれていたお父様としては寂しいよね。
「うぅ……羨ましいよぉ。ハデスが羨ましいよぉ」
「ゼウス? ペルセポネはやっと幸せになれたのよ? 喜んであげないとね? それにすぐにかわいい孫ができるわよ? 冥界では無理だけど幸せの島でなら可能なはずよ? ふふ」
「……かわいい……孫……?」
「そうよ? 『おじいちゃまだいちゅき』って言ってくれるはずよ?」
「……おじいちゃま……だいちゅき?」
「ゼウスは小さい子に好かれるから、きっとずっと膝に抱っこされて離れないわよ?」
「ずっと膝に抱っこ……ぐふふ」
このお父様の姿……
わたしがベリアルに対して、にやけている時にそっくりだ。
周りから見たらこんな感じなのか……
ベリアルの言う通りだよ。
本当にわたしはお父様にそっくりだったよ。
血は争えないとはこの事か。
「……うわぁ、やっぱりぺるみにそっくりだな。気持ち悪……」
ベリアル……
その通りだね。
もう何も言い返せないよ。




