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わたしの悪女ぶりなんてかわいいものなのかな?

 さて、ベリアルにわたしが変態だってばらされる前に王様達をリコリス王国に空間移動させよう。

 このまま賢くて凛々しい元聖女っていうイメージを保たないと! 


「ぷはっ!」


 もう!

 吉田のおじいちゃんてば、またわたしの心の声を聞いたんだね!?

 笑わないの!


「じゃあ、ヒヨコちゃんはお菓子をバスケットに入れて帰る準備をしようね?」

 

 余計な事を言われる前にくちばしにお菓子を入れてっと。

 急いでお菓子を全部バスケットに入れないと。


「モグモグモグモグ……」


 ふふふ。

 ベリアルのくちばしにお菓子を入れ続けてわたしの本性をばらす隙を与えないよ。

 完璧だね。

 わたしってば完全なる悪女だよ。


「ぷはっ! (こんなので悪女?)」


 もう!

 笑わないの!


「マグノリア王、お菓子をたくさんありがとう。ヒヨコちゃんに今から皆をリコリス王国に送ってもらうね。そうしたらわたしとヒヨコちゃんは一度家に帰るよ。リコリス王国は暑いからお菓子が傷んじゃうからね」


 お礼も済んだし出発だね。


「聖女様は、リコリス王にはまだ会わないおつもりですかな?」


「……うん。本当は今すぐにでも会いたいよ? でも一人で頑張っているお兄様の緊張の糸を切りたくないの」


「緊張の糸……?」


「もう少しだけ……お兄様が今の大変な状況から、ほんの少しだけ抜け出せたら、その時に妹として会いに行くよ」


「聖女様は陰ながらリコリス王を助けるおつもりなのですかな?」


「うーん。もうわたしがルゥだっていう事はばれていると思うんだ。違う身体になってもお兄様はわたしを大切に想ってくれているはずだよ? 今すぐに会いに来たいのを我慢してくれているんだよ。だから、わたしはわたしができる事でお兄様を助けたいの。今まで大切にしてもらった恩返しをしたいんだ」


「恩返しを……ですか……」


「わたしはいつも守られてきたの。お兄様はルゥだったわたしを父親から守る為に色々動いてくれていたの」


「リコリス王は……聖女様にずっと守られていたと……お互いに想い合う家族……羨ましいです」


 アルストロメリア王は家族がいないから……

 寂しいよね。

 お兄様には、シャムロックのおばあ様も海賊の家族もいるけど『リコリス王』のお兄様にはなかなか会いには来られないだろうし。

 お兄様もきっと寂しいはずだよね。

 

「一日も早く兄妹として会えるように……人間達が幸せに暮らせるように、ペリドットとして陰でこっそり頑張るよ」


「ペリドット……? ですか?」


 マグノリア王が首を傾げているね。

 宝石の事だと思ったのかな?


「あぁ……今は魔素で閉ざされていた『黄金の国ニホンの王女ペリドット』っていう設定なの」


「その国は実在しているのですか?」


「無いよ? 実際は魔族と今まで通り暮らしているの」


 本当は天界とか冥界とかにも行っているけどね。


「この事を知っているのは……?」


「ここにいる皆と、リコリス王国のアルストロメリア公爵だけだよ? 他の人間はペリドットだって思っていたり、元聖女だって知っていても『黄金の国ニホンの王女』に生まれ変わったって思っているよ? 魔族と暮らしているって聞いたら怖がるかなって……でも『ドラゴンと共に暮らす少女』の時点で怖いけどね」


「なるほど……では我々も口裏を合わせましょう」

「そうですなぁ」

「共通の秘密事……ワクワクしますね」


 なんだろうな……

 王様達は楽しそうだね。

 でも『共通の秘密事』ってアルストロメリア王が言った時にデッドネットル王が一瞬険しい顔になったような?

 でも……

 今は笑っているね。


「どうして、そんなに楽しそうなの?」


「それは……片付かない問題が一瞬で解決したからでしょうか? (いやぁ、良かった良かった)」

「そうですなぁ。聖女様とはこれからも定期的にティータイムをしたいですなぁ(色々と課題を解決していただきたいですしなぁ)」

「確かにそうですね。ヒヨコ様にも会いたいですし(あぁ……ヒヨコ様とずっと一緒にいたい)」


 ……やっぱり良いように使われていたのか。

 心の声が口から出ちゃっているよ?

 でも、お兄様の為になるのならこれで良かったのかも。

 それにしても、アルストロメリア王はすっかりベリアルの虜だね。

 わたしも水面下で『全種族ベリアルアイドル化計画』を進めないとね。

 ぐふふ。

 ベリアルが世界中の生き物のアイドルになる日は近そうだね。


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