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どんどん増えていくアルストロメリア王の毛量

「もう待ちきれない!」


 え?

 ベリアル?

 まさか空間移動を始めるつもり!?


「皆、目を閉じて! 光るよ!」


 大声で叫んだけど、間に合ったかな?


 目を開けると……


「うわあぁ! 目が痛いっ!」

「なんだ!? うぅっ!」


 デッドネットル側は大惨事だね。

 アルストロメリアは大丈夫だったかな?


「えへへ。お菓子はあるかな?」


 ベリアルはご機嫌だね。

 わたしは今まで何回も空間移動をしてきたから、皆より早く目が開けられたみたいだね。


「お菓子を催促して、もし無かったら気まずいから『お菓子をどうぞ』って言われるまで待とうね?」


「うん! えへへ。楽しみだなっ!」


 くぅぅ!

 超絶かわいいよ。

 バスケットに入って嬉しそうにパンみたいな翼をパタパタさせているね。

 とりあえず、人間達に治癒の力を使って……と。

 また毛量が増えるのかな?

 うーん。

 デッドネットルの人間達の元の毛量を知らないから比べられないね。

 ん?

 でも、アルストロメリア王の毛量がさらに増えている?

 うーん。

 あともう一度マグノリアに行く為に空間移動するんだよね。

 フッサフサになるだろうな。


「聖女様? わたしの登頂部に何か御用ですか?」


 あ……

 じっくり見過ぎちゃったね。

 

「えっと……ごめん。アルストロメリア王の毛量がまた増えちゃって……従者の人間もかなりフサフサなんだけど……もう一度マグノリアに空間移動するでしょ? また治癒の力を使うはずだから毛量がすごい事になっちゃうんじゃないかって思って……」


「え? 毛量がすごい事に!? 素晴らしいです!」


 アルストロメリア王は空間移動が怖くなくなったみたいだね。

 むしろ次の移動が楽しみになったんじゃないかな?


「あ……アルストロメリア王? これが空間移動……ですか?」


 ん?

 デッドネットル王が目を開けられたみたいだね。

 ベリアルは前に、この部屋に来た事があるから迷わずに来られたんだ。

 天才だよ!

 デッドネットル城は廊下が長いから歩くのも一苦労だからね。

 アルストロメリア王達もいるから助かったよ。


「はい。してみるまでは怖かったのですが、一瞬でした。次の移動が楽しみです。ははは!」


 アルストロメリア王は毛量が増える事が楽しみで仕方ないんだろうね……

 

「失敗したら身体が裂けると聞きましたが……大丈夫そうですな」


 デッドネットル王も怖いんだね。

 アルストロメリア王も怖かったみたいだけど、どうして『空間移動を頼みたい』なんて言ったのかな?

 ……もしかして、他の大国の王様達はするのに自分だけ頼まなかったら意気地無しだと思われちゃうとか考えたのかな? 


「ヒヨコ様は神様のペットらしいのです。絶対に失敗は無いそうですよ? ところで……デッドネットル王はお菓子の準備はお済みですか?」


 あぁ……

 気を遣って代わりに訊いてくれたんだね。

 申し訳ないよ。

 

「お菓子……ですか? 準備はしていませんが?」


 おぉ……

 そうだよね。

 ベリアルがお菓子好きなんて知らないから……

 でもベリアルは悲しそうな顔をしているね。


「ヒヨコ様はお菓子が好物らしいのです。次にヒヨコ様にお会いする時には甘いお菓子を準備すると喜ばれるかと……」


 アルストロメリア王は本当に優しいね。


「はい。次からは……ですが、ドラゴンと共に暮らす少女はどちらに? ヒヨコ様? もお姿が見えませんが」


 ん?

 あぁ……

 アルストロメリア王の後ろに立っているからわたしとベリアルが見えなかったんだね。


「わたしはここだよ?」


『ドラゴンと共に暮らす少女』って呼んだっていう事は、デッドネットル王はわたしが『ルゥ』だと気づいていないのかな?

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