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『骨抜きにされる』を体感する

 とりあえず、アルストロメリア王から迎えに行く事になっているんだよね。

 昨日ベリス王が、アルストロメリア、デッドネットル、マグノリアの順がいいだろうって考えてくれたんだ。

 デッドネットル王は小国相手に詐欺をしているし、前にわたしを侮辱したから最後にした方がいいけど、マグノリア王は高齢だから体調を考えて最後にしたい。

 アルストロメリア王は楽しい事が好きだし吉田のおじいちゃんの事を昔、国を守ってくれたお犬様に乗った天使様だって思っているんだよね。

 ルゥと吉田のおじいちゃんを家族のような間柄だって知っているから安全だろうっていう事で最初になったんだ。


「えへへ。バスケットいっぱいにお菓子をもらえるかな?」


 くぅぅ!

 ベリアルは今日も超絶かわいいよ!

 ぐふふ。


「ふふ。王様達はヒヨコちゃんがお菓子大好きだって知っているはずだから、バスケットが二個じゃ足りないかもね」


「うわあぁ! 早く行こ! 早く!」


「ふふ。じゃあヒヨコちゃんはお昼寝用バスケットに入ってね」


「うん! よし! 出発だ!」


 ぐふふ。

 バスケットによじ登って入る姿が堪らないね。

 ん?

 公爵もニヤニヤが止まらないみたいだね。

 こんなに近くに同志がいたとは。

 これからは公爵とベリアルのかわいさについて語れそうだよ。


「うん。じゃあ……公爵、行ってくるね。またリコリス城でね?」


「……ペリドット様、もし……いえ……お気をつけて」


 ん?

 公爵が何か話そうとした?

 まさかわたしの、にやけた顔に呆れ果てたとか!?

 でも、そんな感じじゃなさそうだね。


「うん……? じゃあ……またあとで」




 目を開けると……

 アルストロメリアか。

 お城には初めて来たね。

 この前は吉田のおじいちゃんが浄化の旅に勝手に付いてきて大変だったよね。

 ……ベリアルは、厨房に空間移動したみたいだね。

 あれ?

 焼き菓子がたくさん用意してあるね。

 焼きたてなのかな?

 網の上で冷ましているみたい。


「ううう! 目があぁぁあ!」

「痛いっ! 目が痛いぃぃ!」


 しまった!

 空間移動した時の光で目が痛いみたいだ。

 料理人かな?

 うずくまって悶えているね。

 かわいそうな事をしちゃったね。


「うわあぁ! お菓子だ! お菓子!」


 ベリアルはお菓子に夢中になっているね。

 とりあえず、料理人達の目を治して……と。


「ヒヨコちゃんのお菓子じゃないかもしれないからね? ちゃんと訊いてからにしようね?」


「うん! 良い子に食べないで待ってる!」


 ……!?

 良い子に食べないで待ってる!?

 ぐはっ!

 あまりのかわいさに膝から崩れ落ちちゃったよ……

 

「ぐふふ」

 

「うわ……お前、いきなり倒れ込んだと思ったら……ニヤニヤして気持ち悪っ! バスケットが壊れたらお菓子がもらえないだろ! ばあちゃん達のお土産にするんだからな! ちゃんとしろよ」


 くぅぅ!

 ちょっと生意気に聞こえるけど、実はおばあちゃん孝行のヒヨコちゃん……

 ぐふふ。

 ぐふふふ。

 堪らないね!

 しかも、お昼寝用バスケットから顔を出して超絶かわいいっ!

 ニヤニヤが止まらないよ。

 ぐふ。

 ぐふふ……

 

「目が治った?」

「あぁ……なんだったんだ?」


 はっ!

 料理人達にかけた治癒魔法が効いてきたみたいだね。

 こんな、にやけ顔を人間に見られるわけにはいかない!

 落ち着け!

 落ち着くんだよ、わたし!

 とりあえず、立ち上がるんだ。

 くっ!

 足に力が入らない。

 ベリアルのかわいさに身体がフニャフニャしているんだ。

 これが……『骨抜きにされる』……か。

 ベリアル、そんな冷たいつぶらな瞳でわたしを見ないでよ……

 自分でも変態だって分かっているから。

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