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明日は血の雨が降るんだね

「おじい様は生きていられるよね?」


「さすがに命までは奪わないでしょう。ですが、クマポイを一撃で倒したあの腕力が今もまだあるのなら……生きてはいられないでしょうなぁ」

 

「クマポイって……どうしてクマポイって呼んでいるのかな? 初めて見た生き物なんでしょう?」


 さすがにクマっぽいからクマポイなんていう事はないよね?


「それは、カサブランカが名づけました。『クマっぽいからクマポイだ』と言いまして……」


 ……!?

 おばあ様のネーミングセンスはわたしと同じレベルっていう事!?

 でも……


「あのね? ルゥが母親のお腹からいなくなって……その子の性別も生死も分からなかった間、おばあ様はずっと捜し続けてくれていたの。その時ね、男の子だったら……女の子だったらって名前を考えてくれていたの。初めておばあ様に会ったのは、わたしが暮らす島に種族王達が攻め込んできた時だったんだよ? その時に初めてわたしをその名で呼んでくれたの」


「え? 種族王が攻め込んで来た? 大丈夫だったのですか?」


「うん! 今はすごく仲良しでお兄ちゃんみたいなんだよ?」


「お兄ちゃん……? 種族王は多数の種族の魔族達を傘下に入れなければ名乗れないはず。その者達が攻め込んで来た場所にカサブランカが!?」


「うん。レオンハルトも一緒だったよ?」


「レオンハルト……? カサブランカの孫の……確かプルメリアの第二王子でしたかな?」


「うん。おばあ様はわたしの暮らす島に大砲を何度も撃ち込んできてわたしを助けようとしてくれたの」


「……!? なんと恐ろしい真似を! ……だが、カサブランカらしいな」


「公爵?」


「カサブランカは昔から、まっすぐで優しくて……今も変わらないのですね」


「公爵はおばあ様の事を好きだったの?」


「……はい。その気持ちに気づいた時にはもうカサブランカの心は牢に囚われたシャムロックの王子に向けられていました」


「そうだったんだね」


「先程、陛下と聖女様の名をカサブランカが決めていたと……あのカサブランカの事です。とんでもない名をつけていたのでは?」


「素敵な名前だったよ? わたしは『ミルフィニア』あとから聞いたんだけどお兄様は『ホルス』だよ?」


「……『ホルス』」


「公爵?」


 どうかしたのかな?

 涙目になっているよ?


「わたしの名です」


「え?」


「『ミルフィニア』は亡きわたしの母の名で……『ホルス』は……わたしの名です」


「おばあ様は……公爵のお母様と……公爵をすごく大切に想っていたんだね。おばあ様は命がけでずっと『まだ見ぬ孫』を捜し続けていたの。大好きな二人の名をつけて、勇気をもらっていたのかもしれないね」


「勇気を?」


「うん。二人の名をつけて、その名を呼びながら世界中を捜し回っていたはずだし、くじけそうな時にも名を呼んで頑張ろうって思っていたはずだよ?」


「カサブランカ……そうでしたか。良い事を教えていただきました」


「おばあ様は公爵の事が今も大切なんだね」


「……わたしにとってもカサブランカとの思い出は宝物です」


 本当に素敵な関係だね。

 ん?

 あ……

 ベリアルはずっとお菓子を食べ続けていたんだね。

 お腹がパンパンになって公爵の膝で仰向けで寝っ転がっているよ。


「おぉ……なんというかわいらしいお姿……ヒヨコ様は世界の宝ですなぁ」


 公爵はベリアルにすっかり骨抜きにされているね。

 色々辛い思いをしながら暮らしてきたみたいだけど、今は幸せそうに笑っている。

 おばあ様もココちゃんと一緒にリコリス王国のタウンハウスに滞在しているみたいだし、これからは、公爵と昔みたいに楽しい時間を過ごせるのかな?

 

 シャムロックの王太后が大砲を撃ち込んだお話は

『異世界で、人魚姫とか魔王の娘とか呼ばれていますが、わたしは魔族の家族が大好きなのでこれからも家族とプリンを食べて暮らします。~ルゥと幸せの島~』15話『王子と人魚姫の秘密~前編~』から書かれています。

 クマポイのお話は

『幼馴染みのガサツな侯爵令嬢は魔物クマポイを一撃で倒すほど強いと判明したので怖くて逆らえないし、恋心を抱くなんて絶対にあり得ません』に書かれています。


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