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リコリス王国のほぼ全員の男性がジャックだと知り驚愕する

「本当に違うの! わたしはココち……シャムロックのお姫様を応援しているの! だから違うんだよ?」


 お兄様の婚約者候補になる予定だったけど、もうわたしをルゥだって気づいている人間もたくさんいるからね。

 アカデミーに入り込めただけでも良しとしないと。

 ココちゃんを傷つけるのは絶対ダメだよ。


「え? シャムロックの王妹殿下とは、お知り合いなんですか?」


 前の席の男の子が不思議そうに尋ねてきたね。

 そうだよね。

 ニホンは最近まで魔素に閉ざされていた国っていう設定だからね。                                      

「……うん。実は……そうなの。今、リコリス王国で令嬢が行方不明になる事件が起きているでしょう?」


「はい。このアカデミー内でも令嬢が一人消えました」


 皆も令嬢が失踪した事を知っているんだね。


「わたしはシャムロックのお姫様を守る為にアカデミーに入学したの。王様の婚約者候補になれば近くで守れるからって。でも、このままわたしが王様に恋をしているなんていう噂が耳に入ったら辛い思いをさせちゃうから。そんなのは嫌なの。それに……わたしは……心から好きな人がいるの。だから、王様には恋愛感情は無いよ? それは王様も知っている事だし」


「それは、黄金の国のお方ですか?」

「きゃあっ! ドキドキしちゃう!」

「お相手もペリドット様を愛しているのですか?」


 皆、恋愛の話が好きなんだね。


「え? ……あ、うん。あの……気持ちは……確かめ合ったよ」


 うぅ……

 恥ずかしいよ。

 本当は結婚しているけど、アカデミーは既婚者は入学できないから秘密にしないと。

 ハデスはヴォジャノーイ王国に行っているはずだから第三地区の水晶で見ていないよね?

 さすがにハデスに聞かれていたら恥ずかしいよ。

『心から好きな人』って言っちゃったし。

 もちろん世界で一番大好きだけど…… 

 やっぱり、本人のいない場所で言うのは恥ずかしいよ。

 

「あ……そういえばまだ名前を聞いていなかったね」


 さすがに『前の席の男の子』じゃ失礼だよね。


「はい。オレもペリドット様と呼ばせていただいているので……ジャックとお呼びください」


 あれ?

 昨日市場で会った男の子もジャックだよね?

 確か昔、平民から勇者になった人間がジャックで、真似をしてほとんどの平民の男性がジャックなんだよね?

 貴族が平民の真似をしてジャックって名づけるとは思えないけど……


「ちなみにわたしもジャックです」

「わたしもジャックです」

「オレもジャックです」


 え?

 これはどういう事だろう?

 クラスの男の子達も皆ジャックなの?


「えっと……なんで皆ジャックなのかな?」


「はい。遥か昔に貴族の中から勇者様が誕生しまして、その勇者様のお名前がジャック様だったのです」


 おぉ……

 そういう事か。

 ん?

 じゃあ……


「もしかして……このクラスの男の子は全員ジャック……なんて事は無いよね?」


 さすがにそれは無いか。

 それに、皆ジャックだったら名前を呼ぶ時に紛らわしいよ?

 

「さすがにそれはありませんよ? ですがアカデミーの約三分の二はジャックです」


 三分の二も……

 平民はほぼ全員の男性がジャックだから、今日の夕方、市井の広場で『ジャック』って叫んだらほぼ全員返事をするっていう事か……

 

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