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どこの世界でも女の子は恋愛話が好きだよね

「本当に帰っちゃったね」


 令嬢誘拐犯の孫はお兄様に会う為に着飾るのか。

 あのきついコルセットを締めるんだね。

 わたしは二度とコルセットなんてしたくないよ。

 あれは苦しいからね。


「公女を追い払ったのか?」

「今日は殴られなかったな」


 え?

 今日は?

 ほぼ全員のクラスメイトが安心した表情をしているね。

 まさか……


「ちょっと待って? 毎日殴られていたっていう事!?」


「はい。公女はいつも扇子を持っていてそれで殴るんです」


 前の席の男の子が震えながら教えてくれたね。  

 毎日殴られていれば怖くて堪らないよね。


「扇子で? 手で殴れば自分も痛いから相手の痛みも分かるだろうけど……」


「思い通りにならないと『躾』だと言って殴るんです。殴られた後に『ありがとうございます』と言わないとまた殴られて……」


「なんて酷い事を……でも、もう大丈夫だよ? 二度とそんな事はさせないから」


 今日の夕方には『偽の聖女』と『次期王妃に内定した』っていう嘘がばれて下手すれば牢獄行きだよ。


「ペリドット様……ありがとうございます。公女は『公爵令嬢だから』と酷い事ばかりしてきて……陛下の婚約者候補のアルストロメリア公爵令嬢とシャムロックの王妹殿下にも嫌がらせを……」


「え!?」


 やっぱり、アンジェリカちゃんとココちゃんにも嫌がらせをしていたんだ。

 赦せないよ!

 二人は大切な友達なんだから!


「ですが、お二方は毅然とした対応をされていて……我らとはまるで違います」


 良かった。

 さすがはアンジェリカちゃんとココちゃんだね。


「仕方ないよ。家門の序列があるからね。あ! 今日の夕方からの神殿の神聖物のお披露目なんだけど、皆も来られるかな?」


「え? ですが招待状もありませんし、今は制服ですから……正装しないと行けませんよね?」


「ふふ。リコリス王は民の為にお披露目をしようとしているんだよ? 『貴族でございます』みたいな派手な服を着て行ったら呆れられるはずだよ? 場違いだってね。招待状もいらないって聞いているよ? 先着順に席に着くらしいし」


「ペリドット様は陛下にお会いした事が? よくご存知なのですね」


「……すごく立派な王様だよ。だから、王様には幸せになって欲しいの」


 大切な妹のルゥの身体に入り込んだわたしにも優しくしてくれたんだから。

 今度はわたしが助ける番だよ。


「ペリドット様……」

「きゃあっ! 愛なのですね?」

「陛下もペリドット様もお美しいからとてもお似合いです!」


 え?

 女の子達の瞳がキラキラに輝き始めたね。

 どこの世界でも女の子は恋愛話が好きだよね。

 もしかして、わたしがお兄様を好きだと思っているの!?


「あの……誤解だよ?」


「我らはペリドット様の恋を応援します!」

「そうだな。ペリドット様ならこのリコリス王国の未来も安泰だ」


 あぁ……

 お兄様の相手はココちゃんなのに。

 このままじゃココちゃんが嫌な思いをしちゃうよ。

 

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