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誰もが自分が一番正しいと思っているから、いくら話しても分かり合えない事ってあるよね

「王妃とは『全ての民の母』なのですよ? 分かりますか? 誰かを侮辱するような愚か者はその『母』にはなれないのです。産まれたばかりの子から……いえ、胎児からお年寄りまで、皆を平等に慈しむ。それが王妃です。贅沢三昧な王妃など首を斬られて終わりですよ?」


 ルゥの母親を拐った王妃みたいな最期は悲惨だよ。


「これだから小国の王女は困るのよ。大国の王妃は毎日優雅に贅沢に暮らすのが当たり前なのよ? しかも、わたしは聖女なの! さっき怪我人を治したのもわたしなのよ?」


 この誘拐犯の孫はいつも自分の事しか考えないんだね。

 平気で嘘もつくし。


「はぁ……もういいです。何を言っても無駄なようです。全ては夕方になれば分かる事ですから。公女は本日夕刻から市井の広場で神殿が神聖物のお披露目をする事を知っていますか?」


「もちろんよ! 陛下もお越しになるから、いつも以上に着飾って行くつもりよ?」


「そうですか。それは何よりです。クラスの皆様もぜひ見学に……きっとおもしろいものが見られますよ?」


 一度しっかり痛い目に遭った方がいいね。

 大恥をかいたくらいじゃ済まないよ?

『聖女』はお兄様にとっては『ルゥ』なんだよ。

 しかも、王妃の内定をもらったとか大嘘をついた。

 お兄様はココちゃんを大切に想っているんだからそんな事はあり得ないんだよ。

 

 この人間は殴られたら痛いとか、悪い事をしたら罰せられるとかそんな簡単な事も分からないんだ。

 いつも、虐げる側だから……  

 今、教えてあげないといけないんだよ。

 殴られたら痛いし、バカにされたら悔しいし、悪い事をしたら罪を償わなければいけないってね。

 たぶん、この人間は令嬢誘拐犯の家族として処刑されるはずだよ。

 ずっと悪い人間でいたら処刑された後まで嫌われたままだよ。  

 せめて少しの間だけでも優しい人間になって、処刑された後に思い出して泣いてくれる友達を一人でも作って欲しいよ。


「あーあ。イライラするわ。もう帰るわ。陛下に会う為に着飾らないと。きっと陛下は民の前でわたしとの婚姻を発表するでしょうから。あなた達も見に来たら? まぁ貧乏貴族が最前列で見られるはずがないわよね?」


 この人間は、救いようがないね。

 さっきから言っている『おじい様』がこの子をダメにしたんだね。

 小さい頃から大切に育てる方法を間違えていたんだよ。

 悪い事をしたら、それが悪いって教えなくちゃ。

 自分がされて嫌な事は他人にもしたらダメだって教えてあげなくちゃ。

 それが家族なんだよ。

 同じ公女でもアンジェリカちゃんはすごく思いやりがあって、護衛騎士の為に罰を受けようとしたんだから。

 地位が人を悪くするんじゃないんだよ。

 その地位を誰かを虐げる為に使うのか守る為に使うのか、それが大切なんだよ。


(さっきぺるみは嫌がるベリアルを無理矢理吸っていなかったかしら?)

(そうだな。おばあさんに告げ口された後にも『今が楽しければいい』って開き直っていなかったか?)

(謝るどころか無理矢理押さえつけて吸いついていたが)


 上位精霊達が何か言っているけど、それとこれとは違うんだよ。

 

(え? 何が違うのだ?)


 だから違うの!


(いや、だから何が……)


 深く考えなくていいの!

 

(自分の事は棚にあげてよく言うなぁ)


 うぅ……

 確かにその通りだよ。

 指摘されると恥ずかしいね。

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