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あれ? もしかして、ぼっち卒業かも?

「(でも、殿下がもしお妃候補になったらオレは殿下を応援しますよ!)」 


 ……?

 どうして、前の席の男の子は今日会ったばかりのわたしを応援してくれるの?


「えっと……なんで?」


「だって、威張らないし、親しみやすいっていうか……(オレ見てたんですよ。今朝アカデミーの前で殿下と平民が親しそうにしていたところを)」


「あ……そうなんだね」


「陛下は平民を大切になさいます。だから、殿下だったらそんな陛下の考えに寄り添えるかなって」


「あなたは、普通科だから貴族なんだよね? 平民を差別しないのかな?」


「オレは、貴族っていっても男爵家で……貴族からはバカにされるし平民からは貴族だからって距離をおかれて……」


 微妙な立ち位置っていう事か……


「その気持ち分かるよ? だって、わたしもさっき、貴族用の昼食の部屋に行ったらなんか気まずくて……だからって平民用の部屋に行っても王族だって目で見られそうで。だから、ヒヨコちゃんと外で食べたの。そうしたら、木陰が気持ち良くて最高だったよ」


「え? 外で?」


「うん。レジャーシート……えっと敷物を敷いてね? ピクニックみたいに?」


「ピクニック……ですか?」


「うん。あ……」


 この世界にはピクニックはないのかな?


「ニホンでは、よくそうやってお花見をしたりするんだよ? 皆でご飯を食べるの」


「へぇ……あの、もし良かったら明日はオレも一緒にピク……ニック? してもいいですか?」


「え? もちろん! すごく嬉しいよ」


「実はオレも貴族用の部屋に入りにくくていつも外で食べていたんです」


「そうだったの? 同じだね。ふふ」


「はい。あの……聖獣様はサンドイッチがお好きなんですか? あれ? 寝てる」


「え? あ……本当だ」


 かわいいな。

 抱っこされながら寝ちゃったよ。

 確かに魔法石のおかげで涼しくなったし、お腹もいっぱいだし。

 

「(かわいい……)」

「(聖獣ってあんなにかわいいのね)」

「(わたしも話しかけて欲しい)」

「(オレもだよ。一緒に昼食を……)」

 

 うーん。

 話しかけてもいいのかな?


「えっと……わたしが怖くないのかな? あの……『殿下』って呼ばれ慣れないから『ペリドット』って呼んでくれたら嬉しいな」


「え? 今わたし達に話しかけてくださったの?」

「じゃあ、もう話しかけても良いんだよな?」 


「もちろんだよ。てっきり怖がられているんだと思っていたの。話しかけてもらえたら嬉しいな」


「うわあぁ! 嬉しいです! えっと……ペリドット……様?」

「ペリドット殿下……? かな?」


「本当は『様』もいらないけど、呼び捨てだと気を遣わせちゃうかな?」


「はい。さすがに呼び捨ては……」


「もし良かったら明日の昼食のピクニック? に参加してもよろしいでしょうか?」

「わたしも行きたい!」


「ふふ。もちろん! ピクニックは大勢の方が楽しいから」


「わたしも行きたいけど……公女様が許してくれないだろうな」


 ん?

 誘拐犯の孫の取り巻きなのかな?


「わたしも……できれば参加したいのですが派閥の付き合いがありまして。残念です」


「派閥の付き合い? それは大切にした方がいいよ? お友達は大切にしないとね」


 仲良しグループみたいな感じかな?

 群馬にもあったね。


「友達……というよりは家同士の付き合いといいますか……」 


 あれ?

 仲良くしたいから一緒にいるわけじゃなさそうだね。

 上下関係で仕方なく一緒にいる感じなのかも。

 だから、リコリス王国とは関係の無いニホンの王女は付き合いやすいのかもしれないね。

 古くからある人間関係に嫌々付き合うなんて大変そうだよ。

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