ベリアルとの楽しいお弁当~後編~
上位精霊の皆はまだそこにいる?
(もちろんよ。どうしたの?)
このおにぎりの具なんだけど魚じゃない方ってどれか分かる?
(ふふ。上位精霊にそんな事を訊くのはぺるみくらいね)
(魚じゃない方?)
(どれか分かるか?)
(うーん。四個あるから、二個は魚だろうな)
(魚の匂いがする方は……どれだ?)
(難しいな。匂いで分かるか?)
(……右の二つが魚……)
え?
闇の上位精霊のシェイドはすごいね!
おにぎりの具を当てられるなんてすごい才能だよ!
(……)
恥ずかしくなっちゃったかな?
ふふ。
かわいいね。
ありがとう。
おかげで梅干しが苦手なベリアルより先に、梅干しのおにぎりを食べられるよ。
左の二つが梅干しか。
よし!
いっぺんに二つ持っちゃおう!
「なんだ? ぺるみは腹ペコか?」
「えへへ。うん! 超絶かわいいヒヨコちゃんを見ながらだとご飯が進むね!」
「……お前、気持ち悪っ」
「気持ち悪い? ぐふふ。もっと言って! なんか気持ちいいから!」
「……」
「なんで黙るの!?」
「……」
「うぅ……ごめんなさい。もう言わないから……」
「分かれば良し」
ぐふふ。
かわいい。
ぐふふ。
かわいい。
(ぺるみ……あなたの将来が心配よ?)
氷の上位精霊のフラウ……
……やっぱりそうなるよね。
少し変態を控えた方が良さそうだね。
でも、あまりにもかわい過ぎて我慢できないんだよ。
カスタードクリームみたいなフワフワの羽毛も、つぶらな瞳もパンみたいな翼も最高にかわいいんだよね。
「うまあぁぁい! モグモグ」
ふふ。
それにしてもベリアルは本当にかわいいね。
「おにぎりおいしい?」
「うん! 両方魚だ! ぺるみは梅干しみたいだな!」
「ふふ。そうだね」
「オレ、魚のおむすび大好きなんだ! モグモグ」
ベリアルは優しいからおばあちゃんが漬けた梅干しが苦手だって言えないんだよね。
わたしは、そんなベリアルが大好きなんだよ。
あと、つむじがあったりちょっと生意気なところも最高だよね。
ニヤニヤが止まらないね。
ぐふふ。
「……お前、本当に変態だよな」
「え? 違うよ? ど変態だよ?」
「……自覚はあるのか」
「んもうっ! 自覚しかないよ! ぐふふ。じゃあ、今からこのど変態に吸われてみようか?」
ベリアルのパンみたいなかわいい翼に手を伸ばすと叩かれる。
「百年早い!」
「でた! 百年早い! ふふふ。わたしはちゃんと数えているからね。初めて百年早いって言われた日から百年後にお腹いっぱい吸わせてもらうからね。ぐふふ」
「何!? お前……数えてたのか!? 本物の変態だな!」
「ぐふふ。ベリアルを吸う為だったらなんでもするよ?」
「うぅ……気持ち悪いよぉ。ばあちゃん。帰ったらぺるみを叱ってよぉ」
ふふふ。
水晶で見ているおばあちゃんに助けを求めたね。
でも……今楽しければいいんだもん!
後で怒られても今楽しければいいんだもんっ!
「ぐふふ。叱られたって吸うもんね」
「うわあぁん! 気持ち悪いよぉ」
「そうだよ! わたしは気持ち悪いんだよ! ぐふふ」
「うわあぁん!」
こうして、初日の昼食は終わった。
昼食後のわたしはベリアルを吸ってツヤツヤで、ベリアルは、げっそりしていた事は言うまでもない。




