ベリアルとの楽しいお弁当~前編~
そんなこんなで昼食の時間になってしまった。
ははは……
案の定、ベリアルと二人きりの昼食だね。
レジャーシートを持ってきておいて良かったよ。
貴族とか王族はレストランみたいなキラキラの部屋に昼食を準備されているみたいなんだけど……
少し覗いてみたら場違いな感じがして逃げてきたんだよね……
群馬の秘境の地で育った月海の記憶があるわたしには正直きつかったなぁ。
天界に行けばもっと豪華な部屋だけど、あまりにも群馬の学校とは違い過ぎて頭が追いつかないよ。
かといって平民の昼食の部屋にも行きにくいんだよね。
王族の設定だから肩身が狭い……
はぁ……
居心地が悪いなぁ。
慣れていくしかないか。
「うぅ……ベリアルがいてくれてよかったよぉ。ぐすん」
「はぁ? なんだそれ? とりあえずご飯だ、ご飯!」
「うんっ! えへへ。これからもずっとずーっと一緒にいてね?」
ぐふふ。
隙を見て吸いついちゃおうかな?
「……お前、よだれを拭け」
「あ……はい」
しまった。
顔に出ていたみたいだね。
また呆れられちゃった。
とりあえず、誰も来なそうな木陰にレジャーシートを敷いて……
よし!
「ほらほら! すごく素敵だね! わたしと超絶かわいいヒヨコちゃんとの楽園みたいだよ!」
「……」
「え? なんで無言なの? ねえねえ、ねえってばぁ」
「お前からの愛が重いんだよ」
「ええ? だって超絶かわいいんだもん。我慢なんてできないよ。ぐふふ」
「おえ……最悪な気分だ……」
「ええ? もうっ! 反抗期かな? そんな姿も超絶かわいいよっ!」
「……お前の相手は疲れる。ご飯だ、ご飯!」
「はーい! 準備は任せて! そこに座っててね」
バスケットを開けると、おばあちゃん達が作ってくれたサンドイッチとおにぎりが入っている。
おばあちゃんのおにぎりは塩加減が最高なんだよね!
デザートのプリンは魔法石の力で冷たいままだね。
このプリンは……ふふ。
パパの作ってくれるプリンの容器だ。
朝から作ってくれたんだね。
「うわあぁ! プリンだプリン! これオークのプリンだ!」
ベリアルも気づいたんだね。
つぶらな瞳がキラキラ輝いているよ。
「そうだね。プリンはご飯の後にしようね?」
「うん! サンドイッチもおにぎりも旨そうだなっ!」
「「いただきますっ!」」
うーん!
おいしいよ!
サンドイッチはパンがしっとりフワフワで、大きめに切られた具の卵とマヨネーズの味がちょうどいい。
具だくさんで中身が出てきちゃうけど、そこがまたいいね。
おにぎりの具は、たぶん梅干しと鮭っぽい魚だよね。
ベリアルは梅干しが苦手だからわたしが食べてあげないと。