そうだ、ベリアルのかわいさを皆に褒め称えてもらえるような劇をしよう
「困ったな……」
皆、上位精霊だからね。
自分の力を見せたいんだよね。
「ペリドット様?」
学長が心配そうにしているね。
「うん。上位精霊が全員力を貸してくれたいらしいの」
「え? 上位精霊様が? それはありがたい!」
「いや……皆、すごく強いの。だから、自分の前に力を見せた精霊よりも強い力を見せたいはずだよ? 最後の方は大変な騒ぎになりそうで心配なの」
「なるほど……危険な事は避けたいですが……このような機会はもう無いかと。できれば全ての属性の力を見てみたいです」
「うーん。全部か……」
闇の力は使ったらいけないってハデスに言われているんだよね。
「ペリドット様?」
さすがにそんな事は話せないよね。
「帰ったら家族に相談してみるね」
「そうですか……あの……無理にお願いしたいわけではありませんので」
「うん。無理のない程度にさせてもらうね? あと……気になっていたんだけど、人間の使う魔力はどの程度なのかな?」
たぶん人間が魔力を持っているのは、この世界ができたばかりの頃に魔族との間に産まれた子供の子孫だから。
だとすれば、魔族がだんだん弱くなっていったように人間の魔力も弱くなっているはずだよ。
さっきの、先生が水がポタポタ垂れてきた事に喜ぶ姿を見る限り、人間の使う魔術はそれほど強くないんじゃないかな?
「そうですね。生活に使う魔法石に力を入れるくらいでしょうか? 遥か昔のように魔王を倒すような力を持つ者はいないでしょう」
「でも、『四大国のアカデミー魔術科対抗魔術戦』だっけ? それって戦うんだよね? 弱い魔力でどうやって戦うの?」
「下位精霊様を呼び出して相手を場外に出したりもしますが……最近では、呼び出した精霊様に美しい芸のようなものを演じさせる事が多いですね。実際に戦うと言っても、攻撃できるほどの力はありませんから」
「なるほど。美しい芸か……うーん。あ、そうだ! ねぇ、学長? 確か属性検査は検査をしない人間も見学する事ができるんだよね?」
「え? はい。できます。今日も大勢集まっていたようです」
わたしがドラゴンを呼んだせいで台無しになったのか。
申し訳なかったよ。
「わたし、明日は精霊達にお願いして劇みたいな事をしようかと思うの」
「劇……ですか?」
いきなり劇なんて言われてもピンとこないよね。
「うん。主役はヒヨコちゃんで!」
「え? オレ?」
ベリアルが首を傾げているね。
くぅぅ!
超絶かわいいよ!
「大丈夫だよ。ただヒヨコちゃんが激かわな姿を皆に見てもらうだけだから! ヒヨコちゃんはただ立っているだけでいいの。あ……でも踊ってくれたら超絶かわいいよねっ!」
ぐふふ。
かわいいヒヨコちゃんのベリアルがあんな事やこんな事になったら……
こりゃ、堪らないね。
明日はベリアルを水でキラキラさせたり、雪だるまを作ってもらってもかわいいね!
あとは、何をしてもらおうかな?
水で作ったイルカを雷で光らせたりとか?
でも、ベリアルが触ったら危ないか……
上位精霊の皆が参加できる内容を考えないと!
……最終的に力の見せ合いにならない内容にしないとね。
ベリアルのかわいさが溢れ出るような劇にするんだ!
今日は忙しさと興奮で眠れないね。
ぐふふ。
「うわ……ぺるみの顔がにやけきってる……嫌な予感しかしないぞ」
ベリアルが呆れているけど気にしないよ?
だって、皆にベリアルのかわいさを見てもらえるんだから!
明日は人間達がベリアルのかわいさにひれ伏す事になりそうだね。
ぐふふ。
興奮が止まらないよ。