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ハデスがただの善意で精霊を助けたとは思えない妻でごめんね

 上位精霊達は何か理由があってハデスの前に現れたのかな?


(その通りだ。だが、色々と事情があってな)

(先程の下位精霊が拐われた話があっただろう。その精霊を助けたのが前ヴォジャノーイ王なのだ)


 ハデスが助けたの?

 ヴォジャノーイ族だった頃のハデスが精霊を助けたっていう事?

 見返りもなく?

 ん?

 声に出さなくても上位精霊の皆にわたしの考えは聞こえているんだね。

 ……じゃあ、わたしの近くにいる時は全部考えている事が筒抜けっていう事!?


(そうだな。聞こえているぞ? 精霊は呼び出された時以外は人間に関わってはいけない決まりがあるのだ。その為、上位精霊といえども下位精霊を助ける事ができなかったのだ)

(そうなの。小さいかごに入れられて震えているあの子を見ている事しかできなくてね。そのかごには特殊な魔法石が埋め込まれていて精霊が姿を消せないようになっていたの)

(あの頃の下位精霊は人間と遊びたくて、今のように常に姿を消してはいなかったからな)


 そうだったんだね。

 じゃあ、閉じ込められていた下位精霊をハデスが助けてくれたお礼に上位精霊が契約印を?

 

(……そう言えば聞こえは良いが、ぺるみも知っているだろう。あの『前ヴォジャノーイ王』が我ら上位精霊を下僕のように扱っている事を)

(そうだ。下位精霊を助けてわたし達上位精霊をその精霊に呼び出させて……姿を見せて助けた事へのお礼を言ったら『お礼は契約印を手に押す事だけで良い』とか言って)

(あれから、毎日のように魔法石に魔力を入れろとか、魔力を変換しろとか……)

(本当よ。わたし達、上位精霊がいいように使われているのよ?)

(元々天族だったから、ずる賢いんだろう? 天族はそういう奴らばかりだからな)

(こら! 悪口はやめろ! ぺるみは違うからな? 我々はぺるみは大好きだからな)


 ぺるみ『は』大好き……か。

 皆は天族が嫌いなの?

 

(うーん。遥か昔、時々天界から天族が来ていた事があってな。偉そうに我ら精霊を侮辱したのだ)

(もちろん、ぺるみの家族ではないぞ?)

(そうだ。ゼウス? ポセイドン? とかは偉そうではなかったからな。ただ、綺麗な人間を……)

(こら! かわいいぺるみにそんな事を聞かせるな!)


 ん?

 わたしには聞かせられない話?


(ははは! そんな事もあったなぁ)


 ポセイドン……

 一体この世界で何をしていたの?


(お前! まだいたのか! 早くぺるみの身体から出ていけ!)


 おぉ……

 本物のネーレウスがポセイドンに怒っているね。

 まあ、ポセイドンがネーレウスの娘さんにした事を思えば当然だよね。

 なるほど……

 天族が自分達の暮らしている場所で悪さばかりしていたから嫌いなんだね。


(確かに、それもあるが……天族はこの世界を自分達の植民地にしようとしたのだ。ゼウス達が現れるずっと前にな)


 植民地?

 なんでそんな事を……


(天族は自分達が一番偉いと思っているからな)

(まあ、実際わたし達上位精霊よりも強い天族がいる事も確かだがな)


 どうやって、その時天族を追い払ったの?


(魔族だ。それは強い魔族が共に戦ってくれたのだ)

(最近は見ないわね? あれだけ強ければまだ生きていそうなものだけど)

(そうだな。この百年程姿を見ていない)


 百年?

 ……今は考えたらダメだ。

 全部筒抜けだからね。

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