かわいい精霊が遠足前の子供みたいにワクワクしている姿に嬉しくなる
「じゃあ、さっそく属性検査ができるか確認してみよう?」
下位精霊は本当にお菓子をあげたら属性検査をしてくれるのかな?
だとしたらベリアルみたいにかわいいよね。
そういえば、さっきからベリアルはずっと静かだね。
ん?
学長に抱っこされながら、おばあちゃんがくれたペロペロキャンディーを食べていたのか。
くぅぅ!
かわいいっ!
下位精霊達が食べたそうにしているね。
でもひとつしかないみたいだし……
「ちょうど、いただき物のお菓子があるはずです。誰か持ってきてくれ」
司教が神官にお菓子を持ってこさせるみたいだね。
司教がもらうお菓子なんて、ものすごく高級でおいしいんだろうね。
ベリアルと精霊で取り合いにならないといいけど。
(クスクスッ。『リコリスアカデミーの精霊愛重め人間』ったら、さっきの踊りもおもしろかったね)
(うんうん。これから巡礼が始まるんでしょ? 毎日『リコリスアカデミーの精霊愛重め人間』と一緒にいられるんだね)
(お菓子も食べられるんでしょ? クッキーあるかな?)
小さい妖精みたいにも見える下位精霊が遠足前の子供みたいにワクワクしているね。
すごくかわいいよ。
精霊が大好きな先生にも見て欲しいね。
「司教、下位精霊はクッキーが好きみたいだよ? あと、先生と一緒に巡礼に行けて嬉しいって言っているよ?」
「なんとっ! わたしと共にいられて嬉しいとっ!? あぁ……これからは毎日精霊様と共にいられるのですねっ! でも……わたしには精霊様を見る事ができませんからね……こんな事できちんと属性検査ができるのでしょうか」
確かに、見えないから心配になるのは当然だよね。
踊ったけど精霊が近くにいなかったっていう事もあるかもしれないし。
(ぺるみ、上位精霊は困るけど下位精霊なら少しだけ姿を見せてもいいわよ?)
(そうだな。今、少しだけならいいだろう)
え?
いいの?
上位精霊が言うなら平気なんだよね?
すごくかわいいから見る事ができたら嬉しいだろうね。
「でも……どうやったら人間が精霊を見る事ができるのかな? 結界を張ってその中に神力を入れる? でも、水晶を壊すかもしれないくらいだから危ないよね?」
(そうだな。元々、神力が無ければ精霊が見えないというわけではない。精霊自身が姿を見せようと思えば見せられるのだ)
(そうよ? でも、悪い人間に捕まらないように下位精霊達は姿を消しているの)
(少し前に……と言っても人間からすればずいぶん前の話になるが、悪い人間が下位精霊を無理矢理捕まえて売ろうとしてな。それ以来、下位精霊は人間を嫌っているのだ)
(だが『リコリスアカデミーの精霊愛重め人間』は純粋に精霊を愛しているからな。下位精霊がこれ程人間を慕うのは珍しい)
そうなんだね。
確かに魔族のヴォジャノーイ族だった頃のハデスも普通に精霊が見えていたし。
でも、上位精霊達はハデスを怖がっていたっていうか……
無理矢理呼び出されて魔力を変換させられていたんだよね?
姿を消していれば初めからハデスに会う事は無かったんじゃないかな?