やっぱり吉田のおじいちゃんはすごく偉い神様だった(2)
「どういう事だ? 初代の神はずっと行方不明のはずだ」
「ええ。そのはずよ?」
ハデスもお母様も混乱しているね。
「いやぁ……大事なところが切り落とされた、おじい様なんて恥ずかしいだろ? だから、こっそり隠れて皆を見てたんだ」
「ウラノス様……お久しぶりです。あの……まさか神に復帰を……?」
ん?
いつも冷静なウリエルが明らかに嫌そうな顔をしている?
「んん? なんだか嫌そうだなぁ」
うわあぁ……
おじい様は心の声を聞く力があるからね。
ウリエル……全部聞こえちゃっているんだよ?
なんて言えないよね……
「うっ……否定はできませんが……」
ウリエル……おじい様が神様の時は大変だったんだね。
しかも、否定はできないってはっきり言っているし……
「初代の神……とは、本当ですか?」
お母様も信じられないよね。
ずっと行方不明だったわけだし。
……?
なんでわたしにだけ会いに来てくれていたのかな?
「それはなぁ、あのままだとかわいいひ孫のぺるぺるが生きていられなかったからだ」
「え?」
また、心を聞いたね。
このままだと独りで話している痛い人になっちゃうから声に出そう。
「どういう事? わたしが生きていられなかったって?」
「ああ、そうだなぁ。あの主治医はかなり強い毒を赤ん坊の頃から毎日飲ませてたんだ。だからじいちゃんがこっそり忍び込んで解毒してやってたんだ」
「……! ファルズフはどうしてそんな事を?」
おじい様ならファルズフの心を聞けたよね?
「地位の低かったファルズフは、かなりの野心家だったみてぇだなぁ」
「野心家? わたしの病気を治して地位を得ようとしていたっていう事?」
「そうみてぇだなぁ。じいちゃんが完全に解毒したら毒が弱いと勘違いしてなぁ。更に強い毒を盛り始めてなぁ。だからそれからは、ばれない程度に解毒してたんだぞ?」
「あの……ウラノス様? なぜペルセポネ様が毒を盛られている事を知りながら黙っていたのですか? ウラノス様ならば、ファルズフなど簡単に……」
「……ウリエル。それは……だって……『あの人、神なのに大事なところが切り落とされたらしいわよ』ってバカにされたくなかったんだもーん!」
「え? ウラノス様……そんな理由でペルセポネ様を放っておかれたのですか?」
ウリエル……それは絶対に違うよ。
「違うよ……吉田……おじい様はそんな人じゃないよ。わたしは群馬でもこの世界に来てからもずっとおじい様を見てきたから分かるの。何か考えがあったんだよね?」
「……ぺるぺるは、読心術でも使えるのかなぁ? あははは!」
「そんなのは使えないよ? でも、もし使えたとしたら、苦しくて辛くて堪らないはずだよ? 他人の心の中なんて……知りたくないから。口から出ている言葉と心の中は絶対に違うはずだから。怖いよ……口からは優しい言葉を出しながら、心では憎んで嫌っているかもって思うと……耐えられないよ」