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一度に大勢の大物を呼ぶと大変な事になると痛感する

「うーん。わたしが思うに……この水晶にあった神力を属性検査の度に精霊がお礼として受け取っていた……とか? だから、お礼の神力が尽きた水晶で検査をする事に怒った精霊がいたずらで違う属性を伝えた……?」


 なんとなくそんな感じがするね。


「え? では……もうこの水晶は……」


 司教も分かったんだね。


「うん。ただの水晶だね。もう神力は無いよ。でも、精霊達は毎年この水晶から神力をもらっていた記憶があるから集まってくるみたいだね」


「神殿は……もう……何もする事がなくなりました。唯一この属性検査だけは偽りがないと信じていたのに……」


「さっきも言ったでしょ? 民の心は神殿に支えられているんだよ? 忘れないで? 神殿がなくなったら神様を心の支えにしている民が悲しむよ?」


「聖女様……」


「うーん。水晶……か。神力を入れればいいんだよね?」


「ですが……わたしにはもう水晶に入れられるほどの神力はありません」


「じゃあ、わたしがやろうか?」


「え? 聖女様が……ですか?」


「うん。やり方が分からないけど……とりあえず神力を水晶に入れてみるよ」


「あぁ……ありがとうございます! ありがとうございます!」


 とは言ったものの、どうやればいいんだろう?

 うーん。

 手を触れると属性検査ができたんだよね?

 わたしも触れてみようかな?

 ……でも、異世界ものでよくあるよね。

 水晶に触れたら木っ端微塵になったって。

 絶対ダメだよ。

 神殿に残された唯一の物なんだから。

 とりあえず、水晶の周りにいる精霊に訊いてみよう。 


「精霊、わたしの言葉が分かるかな?」


(クスクスッ。分かるよ?)


「ああ、良かった。この水晶に神力を入れたいの。でも触ったら壊しちゃいそうで怖いんだ。どうしたらいいか分かるかな?」


(クスクスッ。分からないよ)


「そっかあ……」


 下位精霊には分からないのかな?

 上位精霊なら分かるかな?


「うーん。じゃあ……ごめんねっ! 皆の助けが必要なの!」


 精霊との契約印がある右手を前に伸ばすと、契約している上位精霊達が嬉しそうに現れる。

 人間達には見えていないみたいだね。

 また独り言を言っている痛い人に見えているのかも……

 でも、一度に全員呼び出した事がないからわたしの声が聞こえているか心配だし。

 声に出せば安心だよね。


(どうした? ぺるみ……なんだ、お前達も呼ばれたか)

(なんだ、わたしだけが呼ばれたと喜んだというのに)

(邪魔だからお前達は帰れ)

(嫌よ。わたしが残るわ?)

(あ! ポセイドン! またぺるみに入り込んでいるな! さっさと出ていけ! 変態め!)

(ぺるみ、このわたしに全て任せるが良い)


 おぉ……

 精霊達が騒ぎ出したね。

 本物のネーレウスはポセイドンと娘さんの事で仲が悪いみたいだし……

 早く終わらせよう。

 水晶どころかリコリス王国が壊されちゃうよ。


 あ……

 闇の上位精霊……

 向こうの隅で体育座りしているね。

 賑やかなのが嫌いだからね。

 

「えっと……皆に相談があるの」


(え? わたしにか? なんだ? なんでも訊いてくれ)

(違うわ? わたしに訊いたのよ?)

(違う。わたしに尋ねたのだ)

(なんでもいいからポセイドンはぺるみから出ていけ!)

(やれやれ。哀れだな。ぺるみはわたしを頼っているのだ)

(さぁ、ぺるみよ。わたしに話してみるが良い)

 

 あぁ……

 長くなりそうだよ。

 上位精霊ともなると譲り合いなんてしないからね。

 ん?

 ……闇の上位精霊が、ちらっとこっちを見たね。

 仲間に入りたいのかな?


「あぁ……シェイド。こっちで一緒に話そうよ? 皆に訊きたい事があるんだ。上位精霊の皆にしか分からない事なの」


 なるべく揉めないように、穏やかに……

 あぁ……

 一人ずつ呼び出せば良かったかも……

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