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朱に交われば赤くなる? だったらまたこれから変わればいいんだよ

「司教、もう終わりだよ。今、全て終わったの。神殿は偽の神聖物を作り出し大国から小国まで全ての国を騙した。それだけじゃなく、嘘ばかりの属性検査までして魔力のある人間達も騙したの。神様の名を使って犯罪を……」


「違う! わたしは……ただ神殿を存続させる為だけに! それだけの為に……わたしは悪くない! こうするしかなかった! こうするしか……」


「何度もやめられる時はあったはずだよ? それでもやめなかったのは本当に神様の為だった? 簡単に騙される人間を見て愚かだって嘲笑っていたんじゃないの? 四大国の王様でさえ自分に騙されているって……自分が一番偉いって思い上がっていたんじゃないの?」


「違う……違う! わたしはただ、人々の為に……」


「本当に人々の為なら嘘なんてついたらダメだよ」


「大国から寄付を受けて何が悪い? 大量に有り余る金を神殿が使って何が悪い!」


「そのお金は民の税金なんだよ? 小国だって寄付をしたんでしょう? さっき出会った子達の国は貧しくて、船賃をなんとか王様が集めてくれたって感謝していたよ? 王様ならお金持ちだなんてそんな事はないんだよ?」


「……わたしは……悪くない……先代も先々代の司教も同じ事を……」


「『初めはおかしいと思った。でも皆がそうしているからそれが当たり前になっていった』っていう事?」


「……はい」


「それを変だって声をあげた人間はいなかったの?」


「大昔……わたしの友人が……その頃にはもう神殿に神力を持つ者はわたししかおらず……その友は……」


「まさか……不正を明らかにしようとした友達の命を奪ったの?」


「……舌を抜き……話せなくして神殿から追い出しました。なんとか……命だけは……助ける事が……あの頃のわたしは、まだ司教ではなく力が無くて……」


「『辛かったね』なんて言わないよ? 何度もあった『真実を話せた時』を司教は自ら手離したんだよ」


「……もう、おしまいです。命をかけて守り続けた神殿が……友まで傷つけたというのに……」


「神殿は終わらないよ……」


「え? ですが……もう神力を持つ者は……」


「神力が無くても神殿は神殿だよ?」


「……え?」


「民は神殿に心の救いを求めるの。今までもそうだったんじゃないの? 今は偉いから民の話を聞く機会なんて無いだろうけど、まだ若い神官の時はそういう事もあったんでしょ?」


「あ……」


「確かに治癒の力を使って欲しいとかもあるだろうけど……神官に話を聞いてもらえるだけでも民の不安は軽くなったんじゃない?」


「……確かに」


「それだけ、神官は特別な存在っていう事なんじゃないかな? そんな神殿をなくしたら民は心の支えを失っちゃうんだよ」


「神殿が心の支え……ですが今まで神殿がしてきた事を民が知れば……」


「知らせなくていいんじゃないかな? 四大国の王様と神殿とわたしだけの秘密……あ、学長と先生とヒヨコちゃんもいるね」


「ですが……四大国の王達が赦すはずが……」


「そうだね。赦さないよね。でも条件次第では赦してくれるんじゃないかな?」


 神殿が四大国の犬になるっていう条件でならね。

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