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記憶操作されていると気づいたら怖くなるよね

「……やり方を間違えたね。神殿がこんなやり方をしなければ助けられたのに。どうして、偽の神聖物を作ったり嘘ばかりの属性検査をしたの?」


「今、神殿には……と言うより……この世界にいる神力を持つ人間は、わたしと聖女様だけになってしまいました」


 ……?

 あれ?

 まただ。

 司教の言葉に違和感がある?


「……司教はどうやって神力を持つ人間が産まれてくるか知っているの?」


「はい。今までの経験上『神力のある母親から産まれた者が神力を持つ』つまり、わたしの子には神力は受け継がれないのです。聖女様! どうか……どうか女の子をお産みください。どうか……その子を神殿に……」


「神殿に閉じ込めて、子を産ませ続けるっていうの? わたしの子がそうなるっていう事!?」


「全ては世界の為なのです!」


「誰かが犠牲にならなきゃいけない世界って何!? わたしは……自分の子がそんな目に遭わされる世界ならこの手で滅ぼしてやるよ! 神官は……神様を大切にしているんじゃないの? 神様はそんな事は望まないの……神様は……皆に笑顔でいて欲しいって……そう心から思っているんだよ!」


 お父様はそういう人なんだよ。

 あれ?

 そういう人だよね?

 少しエッチな下着に触りたくて古典的な罠にかかる姿が脳裏に浮かぶんだけど……


「……そんなのは綺麗事です。わたしは今まで神殿を守る為だけに生きてきました。どんな汚い事も……全ては神殿の為に!」


「神殿の為? ……そうだよ。司教は……神様の為ではなく神殿の為に悪事に手を染めてきたんだよ。結局は自分の欲の為に悪さをしていたんだよ! 神様の為だって自分に言い聞かせながら神様のせいにして、悪さをしてきたんだよ! 違う? 神様が望んだのはこんな事じゃないはずだよ!?」


「聖女様! 今この世界にいる神力を持つ者はわたしと聖女様だけなのです! そうです……そうだ……わたしと聖女様に子が授かれば……強い神力を持つ子が……」


 ……?

 何?

 気持ち悪い……?

 この感覚……

 前にもあった?

 おかしいよ。

 ルゥの双子の兄であるお兄様にも神力はあるよね。

 神官はそれを知っているはずだよ?

 神力を持つ母親から神力を持つ子が産まれるって、さっき言っていたよね?

 どうして、司教はお兄様に神力がある事を忘れているの?

 司教だけじゃない。

 わたしもだよ。

 お兄様がルゥの双子の兄なのは分かっているのに、神力を持っている事を忘れていた?

 どうして?

 

 まさか……記憶操作?

 お父様が田中のおじいちゃんとしてずっと生き続けてきても誰も疑わなかった時みたいに、誰かがお兄様に神力がある事を隠そうとしている?

 お父様……?

 違うね。

 お父様はお兄様には興味が無いから。

 お父様が興味があるのは天族の家族だけだからね。

 正直、第三地区の皆の事もそれほど大切には思っていないはずだよ。

 優しいけど他人にはほぼ興味が無い感じがするんだ。

 じゃあ誰が?

 ……一人しかいないね。

 あの人だ。

 今はこれ以上考えたらダメだ。

 身体の中にポセイドンがいるからね。

 全部筒抜けだよ。

 でも、どうしてわたしの記憶まで操作しようとしたの?

 

 時々、あの人を怖く感じる時がある。

 何を考えているの?

 今よりずっと先を見て動いている感じがするんだ。

 あの人には未来が見えている?

 それとも……未来から来た……とか?

 今度は一体、何をするつもりなの?

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