超絶かわいくて優秀で冷静な秘書に、気づくと鼻の下を伸ばしている
「殿下……わたしもペリドット様とお呼びしても不敬になりませんか?」
学長もペリドットって呼びたいのか。
「うん。その方が嬉しいな。名前で呼ぶのは仲良しの証拠だからね」
「名前で呼ぶのは仲良しの証拠……ありがとうございます! ペリドット様! 嬉しさで身体が震えます!」
「え? 身体が震えるの? 大丈夫かな? 心配だよ?」
「ではではっ! わたしもペリドット様とお呼びしてもよろしいでしょうかっ?」
先生も名前で呼んでくれるんだね。
「すごく嬉しいよ。初めてのアカデミーで不安だったけど皆と仲良くなれて嬉しいよ。本当にありがとう!」
これで『ぼっち』じゃなくなったよ。
しかも、皆すごく優しい人間だね。
一緒にいて心が温かくなるよ。
「ぺるみ、検査会場に行かなくていいのか?」
やっぱりベリアルは有能な秘書だね。
くぅぅ!
かわいくて有能なんて最高だよ!
「そうだった! じゃあ、マリーちゃんとジャック、誰か先生を見つけてわたし達が検査会場に行ったって伝えてくれるかな?」
「はい! 任せてください! では、また夜に」
「うん。また夜に。あ、眩しくなるから目を閉じていてね? じゃあ、行ってくるね」
こうして、ベリアルにリコリス城の検査会場に空間移動してもらうと……
「うわあぁ! 眩しい!」
「なんだ? 目が痛い!」
検査会場にいる人間達の、目を痛がる声が聞こえてくる。
お兄様にもこの光の話が報告されるはずだよね。
会いに来てくれるかな?
でも、まだ今はペリドットとしてやらなければいけない事が山積みだから。
お兄様も我慢してくれるかな?
それとも、もうルゥじゃないから前みたいにかわいがってはくれないかも……
「なんだこれは! 目が痛い!」
「魔術か!? 目がぁ!」
「犯人を捕らえろ! 目が開かない!」
まあ、いきなり光の中から現れたらそうなるよね。
でも、まだ目が痛くて周りが見えていないみたいだね。
神官はいるかな?
あ、あの白い服を着た人間達だね。
見るからに神官だよ。
あれ?
会場には神官しかいないみたいだね?
リコリス王国側の人間はいないのかな?
「ふふ。神官の皆さん。わたくしは黄金の国ニホンの第一王女、ペリドット(仮名)と申します。昨日、偽の神聖物にドラゴンが怒っていると忠告しましたが……残念です。本日、偽の神聖物のお披露目をするとか……先程、ドラゴンが上空を飛ぶ姿を目の当たりにしてもまだ、お披露目をするつもりですか?」
リコリス王国の民の前で嘘がばれる前にやめた方がいいよ?
これは優しさだからね?
「目が! 目があぁ!」
「うわあぁ! 痛いぃ!」
ダメだよ。
全然聞いていないね。
「聞いてるかなっ!? わたしはっ! 黄金の国ニホンのっ! 王女っ!」
かなりの大声だから聞こえているはず。
「うわあぁ! 目がぁ!」
「痛い! 痛いぃ!」
「ねぇっ! 聞いてるっ!? わたしはっ! 黄金の国ニホンの王女のっ!」
「痛いっ! 痛いっ!」
あぁ……
ダメだ。
全然聞いていないね。
困ったよ。
「ぺるみ……お前何やってるんだ? 目を治せばいいだろ?」
え?
あぁ、そうか。
ベリアルの言う通りだよ。
さすが有能な秘書だね。
でも、神官なら自分で治せるんじゃないかな?