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この世界の平民の男性の名はほぼ『ジャック』だった

「ヒヨコ……が……えっと……? わたしも消えるのかな?」

 

 女の子が呟いているね。

 いきなり超絶かわいいヒヨコちゃんが話し始めたし、国に連れて行ってあげるなんて言われたら驚いちゃうよね。

『わたしも消える』……か。

 朝の騒ぎを見ていたんだね。


「朝のあれは、黄金の国ニホンに帰って、また戻ってきたの」


 信じてもらえるかな?


「このかわいいヒヨコが……どうやって?」


「あのね? 神様がこのヒヨコちゃんを授けてくださったの。だから一瞬でいろんな場所を移動できるんだよ?」


「え? そんな事ができるなんて……すごい!」 

 

「うん! すごいヒヨコちゃんなの!」


 そうなの。

 わたしの息子は世界一かわいい上にすごい力を持っているんだよ!

 もっと褒めていいんだよ?


「うわあぁ!」


 女の子がベリアルをじっくり見つめているね。


「……恥ずかしいからそんなに見るなよ」


 ……!?

 え?

 ベリアル……?

『恥ずかしいからそんなに見るなよ』!?

 くぅぅ!

 照れるヒヨコちゃんもかわいいっ!

 鼻血が出そうだよ!

 ぐふふ。


「おい。ぺるみ……王女なんだからそんな顔はやめろ」


 え?

 そんな顔?

 しまった。

 また鼻の下が伸びきっていたのかな?


「プッ! あはは! 王女様っておもしろいですね!」

「こら、不敬罪で首が飛ぶぞ!」


 この二人は兄妹なのかな?

 さっきお兄ちゃんって言っていたよね?

 あまり似ていないね。

 恋人みたいに見えるけど?

 もしかして、幼馴染みのお兄ちゃんとかかな?


「ふふ。大丈夫だよ? このくらいで処刑なんて変だよ。それより、これからも仲良くしてもらえたら嬉しいな。なんか……クラスでも浮いちゃっているみたいで」


 ベリアルがいなければ『ぼっち』なんだよね。

 うぅ……

 寂しいよ。


「え? 王女様とわたし達が友達になるって事ですか?」


「うん。嫌じゃなかったら……」


「うわあぁ! 嬉しいです! わたしはマリーです。こっちはジャックです」


「わたしはペリドットだよ? 殿下とか王女とかって呼ばれた事が無いからペリドットって呼んでくれたら嬉しいな。マリーちゃんとジャック君かな?」


「くん? ですか?」


「あ……男の子の名前の後に『ちゃん』みたいにつけるんだけど。ニホンだけなのかもね。でも、ジャックちゃんじゃおかしいよね?」


「あはは! ジャックちゃんだって!」

「なんだよ! 笑うなよ!」


 この二人は恋人なんだね。

 見ていたら分かるよ。

 ふふ。

 かわいい。


「オレの事はジャックって呼んでください」 


 真っ赤な顔でかわいいね。

 恋人にからかわれて恥ずかしくなったんだね。


「呼び捨てでいいの? ジャックさんでもいいけど?」


「王女様に『さん』なんて呼ばれたら腰が抜けちゃいます」


「え? あはは! うん。分かったよ。じゃあ、マリーちゃんとジャックだね。今日の夜ここに迎えに来るね」


「はいっ! 楽しみにしてます!」


 マリーちゃんは素直でかわいいね。

 あ……

 そういえば。


「市場で昨日友達になった男の子の名前もジャックだったよ? 不思議な偶然だね」


「あぁ……平民に多い名前なんです。なんでも、大昔にすごい事をした平民らしくて」


「へぇ。それで、男の子の名前に『ジャック』が多いんだね」


「はい。平民だけど勇者になったんです!」


「え? 勇者?」


 もしかして、ピーちゃんの事かな?


「はい! 魔王を倒して、世界を救った人の名前です。だからオレも強くなれるようにジャックって。父ちゃんもじいちゃんもジャックなんです」


 ……父ちゃんもじいちゃんもジャック?

 町に出て『ジャック! 』って叫んだら皆が振り向きそうだね。


 魔王を倒した……か。

 今の魔王はお父さんなんだよね。

 勇者だったピーちゃんは群馬で幼馴染みのお兄ちゃんだったし。

 複雑な心境だね。

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