優しい伯母が実は変態だったと知らされてなんとも言えない気持ちになる
さてと……
(とりあえず、ポセイドンはかわいい子犬とかそんな感じのを出してくれるかな?)
さっきまでドラゴンがいて皆怖かっただろうからね。
かわいい子犬で癒されてもらおう。
(かわいい子犬……? それではつまらないだろう)
(え? つまらないとかじゃなくて、今ここに水の上位精霊がいるって分からせればいいんだよ?)
(そんなのは下位精霊がする事だろう? わたしは海の神だぞ?)
(でも、今は『ネーレウス』っていう事になっているんだよ?)
(ネーレウスも上位精霊だろう? 子犬なんて出したらいい笑い者だ)
(笑い者って……じゃあ何を出すの?)
(そうだな……では詠唱しろ)
(え? まだ何を出すか聞いていないんだけど……)
(ほら、急げ! 属性検査が終わったら計画が台無しになるぞ?)
(うーん……それは困るね。分かったよ。いくよ?)
右腕を前に伸ばして……
「抹茶白玉小豆練乳かき氷っ!」
うぅ……
恥ずかしいよ。
大声で、かき氷を注文する人みたいになっているよ。
しかも『抹茶白玉小豆練乳かき氷』が食べ物だって知っているベリアルが冷たいつぶらな瞳でわたしを見つめているよ。
(よし! いくぞ!)
ポセイドン……
声しか聞こえないけどワクワクが伝わってくるね。
って……
え?
地鳴り!?
ん?
空気が振動しているの!?
「この揺れは……これが上位精霊様の力!」
精霊が大好きな先生の瞳がキラッキラに輝いているよ。
遠巻きに見ている学生達も騒いでいるね。
(ちょっと待って! ポセイドン!? やり過ぎだよ!?)
(今こそ、海の神ポセイドンの実力を見せてやる!)
(見せなくていいから! って……これわたしの神力を全然使っていないよね? 全部ポセイドンの力だよね!?)
(ははは! かわいい姪の為だからな! 出し惜しみはしないぞ!)
(そうじゃなくて! アカデミーが壊れちゃうよ!)
(はぁ……仕方ないな。ではドラゴンでも創るか)
(え? 今ドラゴンって……え?)
何も無い空間から突然大量の水が現れた!?
何これ!?
巨大なドラゴンの形になったよ!?
(これなら海の神として恥ずかしくないな)
(やり過ぎだよ!)
「きゃあああ! ドラゴンよ! 水のドラゴン!?」
「逃げろ! でも……水? まさか……」
遠巻きに見ていた学生がまた騒ぎ始めたね。
「待って! 落ち着いて! これは水で創ったドラゴンだよ!」
って、ダメだね。
さっきまで本物のドラゴンがいたからね。
また怪我をさせちゃうよ。
(ポセイドン、この水を急いで消して!)
(ええ? せっかく出したのに! 嫌だ!)
(嫌だって……皆怖がっているでしょ?)
(嫌なものは嫌だ!)
もう……仕方ないね。
火で蒸発させようかな?
でも、海の神が出した水を蒸発させられるのかな?
うーん。
(……ヘスティアの火干しなら消せるかな?)
(……!? ヘスティアちゃん!?)
(え? そうだよ? わたしの神力じゃ消せなそうだから)
(ヘスティアちゃんだけはダメだ! こんな事がばれたらまた火干しされてしまう!)
良くない事をしているのは分かっていたんだね。
(ポセイドンもヘスティアが怖いんだね。お父様もヘスティアの姿を見る度にビクビクしているよ?)
(ヘスティアちゃんは一番上の姉だけあってしっかりしていると言えば聞こえはいいが、ただのドSなのだ。わたしとゼウスを紐で縛り上げては愉悦に浸っているのだ)
(ゆえつ?)
(ゆえつとは心の底から楽しく満足する事だ)
(……ただの変態って言いたいの?)
(ヘスティアちゃんには秘密だぞ?)
(でも、同じ弟だけどハデスには優しいよね?)
(……ハデスは真面目過ぎるほど真面目だからな。縛り上げられたら心が折れてしまうだろう)
(あぁ……なるほど)
確かに、フィギュアのパンツを覗いていた時もお父様には怒れたけど、ハデスには怒れなかったよね。