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叔父と姪の茶番劇の打ち合わせ

「殿下……ですが神官のでたらめな属性が殿下の属性と同じになってしまった場合、違う属性を使う事はできないのでは?」


 学長がベリアルを抱っこしたまま心配そうにしている。

 そうか。

 人間は知らないんだね。

 魔力があれば精霊を呼び出して、違う属性の魔術を使う事もできるって。

 まぁ、精霊が協力してくれたらなんだけどね。


「大丈夫だ。ぺるみは全属性だからな」


 ベリアルがちょっと得意気に話し始めたね。


 くぅぅ!

 かわいいっ!

 得意気なヒヨコちゃんも堪らないねっ!

 全属性……なのかな?

 わたしは、前もって精霊に会って手に魔法陣を描いてもらっているんだ。

 だから、詠唱で精霊を呼び出さなくてもスタンプを押すみたいに空中に魔法陣が出て来て、精霊もそれと同時に来てくれるからすぐにその精霊の魔術が使えるんだ。

 普通は詠唱をして精霊を呼び出して、それから精霊がせっせと魔法陣を描いて、人間の魔力をその魔法陣に通すと違う属性の魔術が使えるんだよね。

 その魔法陣がとんでもなく複雑で精霊は正直面倒で仕方ないみたいなんだ。

 だから、魔力のある人間が違う属性の詠唱をして精霊を呼び出そうとしても、面倒だからってほとんど来ないらしいんだよね。

 そうやって、人間の魔力はだんだん弱くなっていったって『じいじ』だったハデスが教えてくれたっけ。

 というか……

 人間は生まれ持っての属性の魔術は詠唱無しで使えるって知らないんだよね?

 しかも、自分の属性を間違って教えられているんでしょ?

 うーん。

 神殿は何をどうしたくてそんな事をしているんだろう?


「殿下……大丈夫ですか?」


 学長がまた心配そうにしているね。

 

「え? あぁ……ごめん。考え事をしていて。えっと……なんだっけ?」


「ぺるみが全属性って話だ!」


 ふふ。

 ちょっと怒っているベリアルもかわいいね。


「そうだったね。じゃあ……学長? ここって魔術を使ってもいい場所なのかな?」

 

「はい。問題ありませんが……殿下は何を?」


「うん。ネーレウスが本当にここにいるって見せてあげたいの」


 実際いるのはポセイドンだけどね。


(ポセイドンは精霊じゃないけど、わたしの神力を水の力に変換するのかな?)


(それもできるぞ? ヴォジャノーイ族だったハデスを騙す為にネーレウスになりきっていたからな)


(じゃあ、今もそうしてくれるかな? ポセイドンは天族だからね。精霊じゃない事がばれないようにしたいんだ)


(そうか。分かった。では、それらしく見えるように詠唱をしないとな)


(え? 詠唱? あのモニョモニョ言うやつ?)


(違う言葉でもいいとは思うが、この世界の人間の知らない言葉がいいだろうな。詠唱を覚えられてずっと唱えられてもうるさいからな。偽の詠唱だから精霊が出て来るはずも無いしな)


(うーん。難しい漢字の名前とか? うーん。あ! そうだ! 『抹茶白玉小豆練乳かき氷』はどうかな? 意味が通じなければ大丈夫なんだよね?)


(ん? まあ、いいだろう。では始めるぞ? 手を空中にかざせ!)


(うん! 分かった!)


 さあ、叔父と姪の茶番劇が始まるよ!

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