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学長はベリアルのかわいさの虜になりました

 さてと……ここはどこかな?

 校庭みたいな所かな?

 かなり広いからここならドラゴンの皆が集まっても平気だね。


「きゃあああ!」

「逃げろおお!」


 うーん。

 人間が逃げ惑っているね。

 ドラゴンは優しいんだけどなぁ。


 頭上高くにいたドラゴン達が降りてくる。


「まだ迎えには早いよ?」


 ドラゴン王のばあばが頷いているね。

 ドラゴンが人間の言葉を話せる事は秘密なんだね。

 

「もしかして、(水晶で見て)助けに来てくれたの?」


 また頷いているね。


「ふふ。ありがとう」


 ばあばの目の前まで歩くと抱きつく。


「(普段の人間の姿のばあばも好きだけどドラゴンの姿のばあばも好きだよ?)」


 ばあばが優しく微笑んでくれる。


「ん? なんか甘い匂いがするぞ?」


 ベリアルがつぶらな瞳をキラキラ輝かせているね。

 くぅぅ!

 かわいいっ!


 あれ?

 ばあばが何か箱を持っているね。

 これは!

 温泉まんじゅうだ!

 うわあぁ!

 ここの温泉まんじゅうは最高においしいんだよね。

 薄皮で、こしあんがたっぷりで……  

 絶対に一個でやめられないんだ。

 

「うわあぁ! これ旨いやつだ! やったぁ!」


 ……!?

 ベリアル!?

 なんてかわいさなの!?

 赤ちゃん用のボンネットを被ったベリアルのかわいさにメロメロだよ!


「(じゃあね)」


 ばあばが小声で話すとドラゴンの皆が空高く昇っていく。


「皆、ありがとう!」


 うーん。

 神官が滞在中のリコリス城の上をわざわざ通って行ったね。

 そっちは第三地区とは反対方向だよ?

 これで神官が神聖物を偽物だって自ら言ってくれたらいいんだけど。


「殿下! 殿下あああ! お怪我は!?」


 おお……

 学長がゼェゼェいいながら走ってきたね。

 ん?

 見るからに魔法使いですよ風の人間もいるね。


「学長、ごめんね? ドラゴンが予定より早く迎えに来ちゃって。怪我人がいたら手当てするよ?」


 皆かなり慌てていたからね。


「ありがとうございます」


「わたしのせいだから、お礼なんて言わないで欲しいよ。とりあえず……と」


 このアカデミーの広さならペルセポネに戻ったわたしなら一瞬で怪我人の治癒が終わるね。

 とりあえず、祈りのポーズでもしておこうかな?

 詠唱なんていらないけど一応それっぽく見せておかないとね。 


「学長、ごめんね、ヒヨコちゃんを抱っこしてもらえるかな?」


「ヒヨコ様をわたしが!? 神様から授けられたヒヨコ様をこのわたしが!? あぁ……長生きして良かった!」


 学長もベリアルのかわいさにメロメロだね。

 ふふふ。

 このかわいいヒヨコちゃんはわたしの子供なんだよ?

 もっとかわいいベリアルを褒め称えていいんだよ?


「おお! なんというフワフワ……つぶらな瞳がわたしの心の臓を貫きましたぞ? このかわいらしい帽子がクリーム色の羽毛を……」


 学長……

 ご機嫌だね。

 ベリアルは全然聞いていないみたいだよ?

 温泉まんじゅうを夢中で食べているよ。


「モグモグモグモグ」


「あぁ……なんと神々しいお姿だ。この茶色い食べ物はなんですかな?」


「モグモグ。これは温泉まんじゅうだ! ひとつ食べるか?」


「はいっ! この上なき幸せです! おお! これは……おいしゅうございます!」


「そうだろう? オレの『ベストスリー』に入るお菓子なんだ!」


「おお! そのような素晴らしいお菓子をわたしに……うぅ……」


 学長が泣き出したね。

 ベリアルのお菓子のベストスリーってなんだろう?

 全部一度におやつで出したら『ぺるみ大ちゅき』って言ってくれるかな?

 ぐふふ。

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