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悪口は言ったらダメだよって教えてあげないとね

「先生? 先程から……わたくしを侮辱する声が聞こえてきますが、リコリス王国の風習なのでしょうか?」


 そんなはずは無いけどね。

 ベリス王に感情の無い笑顔の作り方を教えてもらっておいて良かったよ。

 

「それは……そのような風習はございません」


「そうですか。残念な事です……わたくしを侮辱するという事はニホンを侮辱するのと同じ事……この事は父に報告させていただきます」


「殿下……それは……」


「ニホンはリコリス王国ときんの取引を……と考えていましたが、それも無くなるでしょう。わたくしは父から溺愛されていますので、この事が父の耳に入ればアカデミーへの援助もどうなるか……」


「ええ!? (わたくしのボーナスが!)」


 ふふふ。

 昨日アカデミーに渡した金塊を換金して、先生と学長の特別ボーナスにして欲しいって頼んでおいて良かったよ。

 こんな事を思いつくなんて、ベリス王は天才だね!

 さすが人間相手に悪どい商売をしているだけの事はあるよ。


「残念です。リコリス王国は他国の王族に対して貴族が悪口を言う風習があるのですね」


「決してそのような事は……」


 あぁ……

 先生を困らせたいわけじゃないの。


「先生に怒っているのではありません。わたくしは貴女に言っているのですよ?」


 そうだよ。

 本人に直接教えてあげないとね?

 誰かを傷つける悪口を言ってはいけませんって。


「わた……わたしはそんな悪口なんて……」


 へぇ。

 聞こえるような声で言っていたのにごまかすんだね。


「ではわたくしの勘違い……でしたか?」


「そうです! 勘違いです!」


「へぇ……白髪がどうとか、ぬいぐるみがどうとか言っていたようですが?」


「わたしではありません!」


「……自分の口から出た言葉には責任を持たなければいけません。特に国外の王族に悪態をつくなど絶対に赦される事ではありません。戦になるかもしれませんよ? 貴女にその責任がとれますか?」


「……でも……でも……貴女だって嘘つきでしょ? ドラゴンが迎えに来るとか言って……バカじゃないの? ぬいぐるみなんて、赤ちゃんじゃあるまいしアカデミーに持ち込むなんて大バカじゃない!」


 おぉ……

 ついに本性を現したね。

 というより性格が悪い事は分かっていたけどね。

 甘やかされて育ったんだろうね。

 小さい子みたいだよ。

 困ったねぇ。

 教室内が静まり返っちゃった。

 まぁ、たった今、戦になるって話したばかりだからね。


「そうですねぇ。わたくしは嘘は言っていませんが……ぬいぐるみも持ち込んではいませんし」


「はあ? その黄色いのは何なのよ!?」


 あぁ……

 先生があたふたしているね。

 まさに『これがあたふたのやり方です』って教科書に載っていそうなあたふたさだね。

 ボーナスの危機だけじゃなくて戦にもなりそうな勢いだからね。

 そりゃ、あたふたしちゃうよね。


「黄色いの……ですか? この子は……神様から授けられた聖獣ですが?」


「はあ!? 本物のバカなのね! 聖獣!? 頭大丈夫!?」


 良かった……

 ハデスがヴォジャノーイ王国に行っていて本当に良かったよ……

 もし、この場にいたらこの人間だけじゃなくて、アカデミーの皆も今頃生きてはいなかったよ。


「はぁ……お前、命知らずだな」

 

 抱っこされているベリアルが話し始める。


「ええ!? ぬいぐるみじゃなかったの!?」

「まさか……魔族!?」

「本当に聖獣……とか?」


 クラスメイト達が騒ぎ始めたね。

 さて、悪口を言っていた人間は……?

 おぉ……

 怒っているのかな?

 反省している顔じゃないね。

 

「ぺるみ……来たぞ」


「……うん。分かってる」


 はぁ……

 水晶で今のわたしの状況を見ているはずのドラゴンがアカデミーに向かって来ている気配がするよ。

 アカデミーのお迎えに来てもらうつもりだったのに。 

 まだ、早過ぎるよ。

 絶対おもしろがっているね。

 ドラゴンは第三地区の皆みたいに楽しい事が好きだからね。

 お願いしていたのはレッドドラゴンだけだったけど他のドラゴンの気配もするよ。

 ドラゴンの皆……人間を驚かせたくて今頃ワクワクしているんだろうな。

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