ファルズフのしてきた事~後編~
「全く……確かハデスにもわたしがやったと話していたわね?」
お母様も呆れているよ。
「だってぇぇ……」
「じゃあ、先天性の病は無かったのね? でも……今も獣を触らないと禁断症状が出ているわよね?」
お母様が心配そうにわたしのほっぺたを撫でる。
「うん。それなんだけど……イフリート王の話だとね? 神様だった時のブラックドラゴンのおじいちゃんが、ルゥに魔族を怖くなくなる術をかけたでしょ? それはルゥの身体とわたしの魂の両方にかかっていて、わたしの魂に残っていたファルズフの呪いが合わさって、ルゥはモフモフが大好きだったんじゃないかって……それか、ファルズフが最期の時にわたしの身体に呪いをかけたのかもって」
「ファルズフの呪い……全く、ろくでもないクズね」
「今、ペルセポネの身体に戻って、身体にファルズフの呪いが残っていて、身体も魂も呪いがかかっている状態になったから禁断症状が出るんじゃないかって……ザクロは解毒作用だけで呪いには効かないらしいから。それか、ファルズフが最期に嫌がらせで禁断症状が出るようにしたか……」
「なるほど、今まではファルズフの呪いがかかっていないルゥの身体だったから禁断症状が出なかった……? でも……もしかしたら、最期の力で呪いをかけたっていう方が正しいのかも。ハデスにも呪いをかけたんだもの……」
「よく分からないけど……でも、ファルズフは……すごく怖かった……」
「あぁ……ペルセポネ、全部お父様のせいなんだ。お父様がファルズフを主治医になんてしたから……」
「お父様はどうしてファルズフを主治医にしたの?」
「今の話だと、産まれた直後のペルセポネに呪いをかけた事になるわよね? ファルズフは神の娘の主治医になれる程の地位には、なかったはずよ?」
「今の話から考えて……ファルズフは、産まれたばかりのペルセポネに呪いをかけて発作が起こるようにしたのかも。でも、それは呪いだから誰にも治し方が分からなくて……天界全ての医師に召集をかけたから、その時にファルズフが呪いを解いて治したようにみせた……? それから、呪いをかけては解いてを繰り返して、そのたびに強い薬を飲ませて……薬で治しているように見せかけていたのかも」
お父様……?
じゃあ、ずっとファルズフに騙されていたっていう事?
「そんな……わたしは……薬を飲まないと病気が治らなくて、お父様とお母様が悲しむってファルズフに言われて……飲み続けていたのに」
「ペルセポネ、そんな事を言われていたの? あぁ……お母様達の為に辛い治療を頑張っていたのね……」
「ファルズフめ! 赦せないよ! うわあぁ!」
お父様……
急に立ち上がったから書類が崩れて下敷きになったね……
「……これ以上無い苦しみを与えて消滅させた。肉体的にも精神的にもな」
ハデスが執務室に入ってくる。
「ハデス……精神的にもって?」
ハデスがそう言うっていう事は、かなりの事をしたんだろうね。
「……あいつは心が腐りきっていた。ペルセポネの心が自分のものだと信じ込んでいた。だから言ってやったのだ」
「……なんて言ったの?」
「ぺるぺるは、ちゅきちゅき大ちゅきなハデスちゃんと仲良しキャッキャだから、邪魔しちゃ嫌よって言ったんだよなぁ?」
え?
吉田のおじいちゃん!?
あ……
天族の姿だ。
普通に皆の前に現れているけど、平気なのかな?